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トレッドミル負荷と組み合わせた顔面浸水試験の有用性についての検討
福井循環器病院小児科
西田 公一

【はじめに】当科ではトレッドミル負荷(TM)と顔面浸水負荷(FI)をセットとして施行しており運動処方の判断材料としている.当科のプロトコルの有用性や問題点について検討した.【対象】2005年 3 月より2007年 9 月までに当科でTM-FI負荷試験を施行した患者119名.年齢は12.7±2.54歳(mean±SD)で男74名,女45名.疾患内訳はPVC 58例,PAC 7例,ST-T異常や異常Q波10例,洞不全症候群疑い 8 例,その他36例は川崎病既往,QT延長症候群,房室ブロック,各種術後症例などであった.【方法】最初に氷冷水を用いてFIを行い引き続きTM負荷を施行.TMはBruce stage 3 より開始し 2 分間でstage upするmodifiedプロトコルを使用した.目標負荷終了後 5 分間の休息後にFIを施行.浸水時間を測定し,RR変動,イベント発生についてTM前後で比較検討した.【結果】FI直前の心拍数はTM前の平均94.2±15.5/分に比してTM後は120.1±14.9/分と上昇していた.FIによるRR延長率(= FI後最大RR/FI前RR)はTM前が1.88±0.66,TM後は2.23±0.84で有意に高値であった(p < 0.001).FI時間はTM前で16.6±10.4秒,TM後で14.9±6.8秒であった.FI時間とRR延長率には明らかな相関はなかった(TM前:r = 0.06,TM後:r = 0.24).FIによりPVC,接合部調律などのイベント発生率はTM前で63例(52.9%),TM後では67例(56.3%)でややTM後のほうが高率であったが有意差はなかった(p = 0.53).【まとめ】FI時間とRR延長率の相関は弱く被験者に無理に長時間の浸水を強いずとも十分なRR延長が得られるケースが多かった.イベント発生率はTM前後で有意差はなかったがFIを単独で行うよりも所見を得やすい可能性もあり当科ではプロトコルを工夫しながら本法を継続していきたいと考えている.

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