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グレン手術後の心臓カテーテル検査と補助的治療—フォンタン手術到達をめざして
国立循環器病センター小児循環器診療部1),心臓血管外科2)
面家 健太郎1),黒嵜 健一1),大内 秀雄1),山田 修1),鍵崎 康治2),八木原 俊克2)

【背景】フォンタン手術候補に対して,当施設では生後 6 カ月程度でグレン手術を行い,生後12カ月程度でのフォンタン手術施行を基本方針としている.しかしグレン手術後に高肺血管抵抗や心機能低下,側副血行増加などの問題点のため,フォンタン手術到達に難渋することもある.本研究の目的は,グレン手術後のフォンタン手術到達に影響を与える因子,およびそれに対する補助的治療について調査検討することである.【対象と方法】2001~2006年の間にグレン手術を経てフォンタン手術に至った91症例(左心低形成症候群 5 例,三尖弁閉鎖13例,両大血管右室起始31例,右室型単心室20例,左室型単心室13例,その他 9 例)を対象とした.グレン手術からフォンタン手術までの期間が 1 年以上のL群(16例)と 1 年未満のS群(75例)との 2 群に分け,肺動脈圧,心室収縮力,側副血行等と補助的療法について診療録を用いて後方視的に比較検討した.【結果】グレン手術後の心臓カテーテル検査において,L群はS群に比して有意に平均肺動脈圧が高かった(10.8mmHg vs 7.9mmHg,p < 0.05).補助療法はいずれもL群での施行頻度が高かった.その内訳は在宅酸素療法(43 vs 23%),ベラプロスト使用(31 vs 5%),ACE-I/ARB使用(25 vs 8%),β遮断薬使用(6 vs 0%),コイル塞栓術(69 vs 61%),フォンタン手術時のfenestration設置(8 vs 18%)であった.いずれかの補助的療法がフォンタン手術前に施行されたのは65例(71%)であった.【結語】グレン手術からフォンタン手術到達まで 1 年以上を要する例は肺動脈圧が高値であった.これらの例では肺動脈圧低下を目的とした在宅酸素療法などの補助的治療が高率に施行されていた.フォンタン手術が困難と考えられる症例に対しても,問題点を把握し積極的に補助的治療することでフォンタン手術に到達できたと思われた.

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