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経動脈的熱希釈法と圧波形解析型心拍出量(PCCO)計測を用いたFontan術後の心機能およびその予備能の評価
東京慈恵会医科大学小児科
安藤 達也,高木 健,斎藤 亮太,藤原 優子,飯島 正紀,浦島 崇,衛藤 義勝,中澤 誠

【目的】Fontan型修復(以下F型)の心機能およびその予備能を評価し,影響因子を検討する.【対象】F型術後,カテーテル検査目的に入院した13症例.【方法】dobutamine(以下DOB)負荷を行い,圧データを記録すると同時に,経動脈的熱希釈および圧波形解析型心拍出量(PCCO)測定装置(PiCCO plus,PULSION Medical Systems)による測定を行い,安静時の心機能と負荷時の心機能を評価する.【結果】平均年齢は7.3歳で,8 名が右心室を主たる心室としていた.PA indexは平均257,負荷前肺動脈圧は平均10.8(8~15)mmHg,心係数(CI)は平均3.1(2.2~4.2),肺血管抵抗係数は平均1.6(0.6~2.4)U・m2であった.負荷により心拍数と心拍出量が上昇し,心室拡張末期圧(EDP)および 1 回心拍出量(SV)が減少した(p < 0.05).また今回の検討ではFick法による心拍出量(CO)測定も同時に行い,Fick法とPCOO法の比較を行った.負荷前のCOが両者同等であるのに対し,DOB負荷状態では両者に差がみられるようになった.症例をCIをもとに良好群,不良群に分類して検討を行ったところ,年齢とPA indexで有意差を認めた.【考察】DOB負荷によりSVは減少しており心拍出量増加は心拍数の増加により支えられていた.これは文献的にも,EDP減少とともに心拍数の増加に見合った心室の前負荷増加が得られないことを反映すると理解されている.PA indexについては,肺血管床の総量を反映していればF型が成立するうえで肺血管床の総量が重要といえる可能性があるが,単に肺血流量(PO)を反映していると考えれば,POとCOは同義なのでCOが多い症例では結果的にPA indexが大きいというだけのことかもしれない.またPCCOによる心機能測定は簡便かつリアルタイムであり,当院のsystemではFick法の酸素消費量を身長,体重のみから計算しているので負荷時にはより正確で有用な方法と考えられた.

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