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経過観察後の再評価で学童期以降にTCPCに到達した 4 症例の治療経験
国立成育医療センター心臓血管外科
小林 一哉,高岡 哲弘,関口 昭彦

【目的】TCPCの適応なしといったん判断された症例でも,保存的治療の後に再評価すると条件が改善しTCPCの適応が認められる例がしばしばみられる.今回,再評価で初めてTCPCの適応が認められ治療に至った 4 症例について検討し,肺血管条件の改善に寄与する要因を考察する.【対象・方法】当施設において2005年 7 月~2007年11月の間にTCPCを行った症例のうち,以前にTCPCの適応なしとみなされた 4 症例の心臓カテーテル検査結果,治療経過をretrospectiveに比較検討した.【成績】症例 4 名の診断は症例 1:TS・PS・hypoRV,症例 2:TA(TypeIb),症例 3:Ebstein奇形・PA,症例 4:DORV・hypo LV.TCPC時の年齢は症例 1:15歳 2 カ月,症例 2:16歳 0 カ月,症例 3:9 歳10カ月,症例 4:13歳11カ月であった.TCPCの適応なしと判断した理由は,症例 1:左右肺動脈発育不均衡・左肺動脈発育不良(PAI = 169),症例 2・症例 3:肺動脈発育不良(PAI = 120,118),症例 4:高肺血管抵抗(Rp = 3.2)であった.在宅酸素療法は症例 2・3・4 で行われた.症例 1でV-V shunt発育を認め,術中直接結紮行った.症例 2・3・4 でAPCA認め,術前にcatheter embolization行っている.手術は全例でextracardiac conduitを用いたTCPCを行った.症例 3・4でfenestration付加を行った.術後経過で症例 1 が止血術,症例 3 がfenestration付加の再手術を要した.術後経過観察で症例 1 で左肺動脈閉塞を認めたが,現在全例生存および全例QOLの改善がみられ外来経過観察中となっている.【結語】在宅酸素導入症例で心臓カテーテル検査所見で肺血管条件の改善が認められ,TCPC術前の条件の改善に在宅酸素が有用である可能性が示唆された.

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