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Rastelli型手術後IEに対するstentless allograftを用いた右室流出路再建の 2 例
大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科1),小児科2)
上仲 永純1),市川 肇1),上野 高義1),前畠 慶人1),井出 春樹1),福嶌 教偉1),澤 芳樹1),那須野 明香2),岡田 陽子2),吉田 葉子2),小垣 滋豊2)

成人期のRastelli型手術後の問題点として,右室流出路(RVOT)の機能不全,狭窄とともに感染性心内膜炎(IE)の合併が挙げられ,治療に難渋することがある.今回われわれは,Rastelli型手術後に,心外導管のIEに対してstentless allograftによるre-RVOTRを施行し,良好に経過した 2 例を経験した.症例 1 は51歳女性,TGA(3)に対して33歳時に他院にてRastelli手術を施行.2006年12月ごろより発熱を認め,血液培養よりMSSAが検出され,抗生剤投与を行った.しかしCRP高値が遷延,その間,RVOTおよびLVOTに疣贅を認めRVOTOが進行したため,2007年10月に手術を施行した.IVRパッチ周囲に感染組織を認めたためIVRパッチを可及的に除去後,再度Hemashieldパッチをあてre-IVRを行い,石灰化したRVOTパッチを除去したのちstentless allograft(PrimaPlus)を肺動脈分岐部側に縫着し,右室側はHemashield人工血管によりにRVOTRを行った.症例 2 は26歳男性,DORV/PAに対して 4 歳時にRastelli型手術を施行し,14歳時にIEに対してTAPを用いたre-RVOTRを施行した.2007年 3 月より発熱を認め,血液培養にてMSSAが検出され,抗生剤投与を継続したが,難治性であり,CTにて導管周囲に仮性瘤の拡大を認めた.手術を検討中,突然に喀血を認め,緊急手術を施行した.前回心外導管に用いたウマ心膜は破壊されており,仮性瘤および壊死組織を可及的に除去,肺動脈分岐部側にstentless allograft(PrimaPlus)を縫着し,右室側はウマ心膜ロールによりre-RVOTRを行った.2 症例とも術後経過良好で感染は沈静化し,現在外来通院中である.IEを伴う右室流出路に対する再手術として,stentless allograftはその特性により感染に強い可能性があり,再手術材料として有用であると考えられた.

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