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乳児期早期の心室中隔欠損に対する治療—一期的VSD閉鎖術の術後経過の検討
兵庫県立尼崎病院小児循環器科1),心臓血管外科2)
佃 和弥1),坂崎 尚徳1),坂東 賢二1),李 進剛1),藤原 慶一2),大谷 成裕2),大野 暢久2),清水 和輝2),小田 基之2),藤原 靖恵2),今井 健太2)

【はじめに】乳児期早期に外科治療介入が必要な心室中隔欠損(VSD)症例に対し,修正36週未満の未熟性,2,000g未満の低体重,頭蓋内出血などの問題が認められる場合には肺動脈絞扼術を施行し,その後 3 カ月以内にVSD閉鎖術を行う二期的治療を選択し,それ以外の症例については一期的にVSD閉鎖術を行う方針としている.一期的VSD閉鎖の術後経過はおおむね良好であるが,術後管理に難渋する症例も存在する.【目的】乳児期早期のVSDに対する治療戦略の妥当性を評価するとともに一期的VSD閉鎖術の危険因子について検討すること.【対象と方法】2004年 1 月~2008年 1 月の期間中,生後 3 カ月以内に外科治療介入を要したVSD 36例(simple VSD 21例,VSD + PDA and/or ASD 6 例,DORV 2 例,CoA/IAA complex 7 例)を対象とし,術前後の臨床経過を後方視的に検討した.【結果】36例中28例に一期的VSD閉鎖術を施行した.手術時日齢は 6~88(中央値 = 50)日,手術時体重は2.73~4.8(中央値 = 3.71)kg.術後死亡の 2 例と術後の人工呼吸管理が 7 日以上に及んだ 4 例(計 6 例)を術後管理難渋例とし,経過良好群と比較したが術前の臨床経過に有意な差異は認められなかった.しかし術後管理難渋例の 3 例(死亡 2 例)で難治性の上室性頻拍を認めており,うち 1 例で術前に持続時間は極めて短いものの上室性頻拍の既往があった.また死亡例 2 例においては術直後の圧測定で中等度以上の肺高血圧が残存していた.【結語】乳児期早期の一期的VSD閉鎖術の成績は向上しているが,術前に不整脈があるもの,また肺高血圧が残存するものに関しては注意が必要であり,二期的治療を考慮する必要もあると考えられた.

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