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不整脈を合併した心臓腫瘍の 3 乳児例
日本大学医学部小児科学系小児科学分野
下澤 克宜,住友 直方,中村 隆広,市川 理恵,福原 淳示,松村 昌治,宮下 理夫,金丸 浩,鮎沢 衛,岡田 知雄,麦島 秀雄

心臓腫瘍に合併する不整脈は難治性,一過性とさまざまである.不整脈を合併した心臓腫瘍の 3 乳児例を報告する.【症例 1】5 カ月の男児.胎児心エコーで,右室体部に孤立性の心臓腫瘍を認め,妊娠経過中に腫瘤は増大した.出生後,頭部CTの石灰化像,皮膚白斑を認め結節性硬化症と診断した.心エコーでは右室体部から流出路にかけて17×15mmの内部が均一な腫瘍を認め,日齢 7 から左脚ブロック,下方軸,心室レート約200でRR間隔の不整な非持続性心室頻拍(NSVT)が出現した.腫瘍は徐々に縮小し 4 カ月で消失し,NSVTは現在も継続しているが,無投薬で経過観察している.【症例 2】7 カ月の男児.6 カ月に痙攣を認め,頭部CTの石灰化像より結節性硬化症と診断した.心エコーで,心室中隔に15×20mmの孤立性で内部が均一な心臓腫瘍を認めたが,6 年で縮小している.経過中に一過性Wenckebach型房室ブロックを認めた.【症例 3】8 カ月の女児.心雑音の精査で行った心エコーで左心室の前壁中隔から側壁にかけて広範な,石灰化を含む内部の不均一な腫瘍を認め,右室流出路狭窄を伴っていた.8 カ月から左脚ブロック,左方軸,心室レート約180でRR間隔の一定な持続性心室頻拍(SVT)を頻回に認めた.リドカイン,プロカインアミド,メキシレチン,アミオダロンの静注に抵抗性で,ニフェカラントとβブロッカーの投与で抑制されるが再発を繰り返し,1 歳 1 カ月の現在もコントロールできていない.【考察】症例 1,2 は結節性硬化症・腫瘍の縮小・エコー輝度の均一性から横紋筋腫と考えられ,不整脈は循環動態に影響を及ぼさなかった.症例 3 はエコー輝度の不均一性,MRI所見より線維腫が最も考えられ,SVT・流出路狭窄により循環動態に影響を及ぼした.横紋筋腫以外の心臓腫瘍は,致死的不整脈を伴うこともあり,不整脈合併心臓腫瘍について,文献的考察を含め報告する.

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