P-221
当院における,心カテまたは心内修復術を要した 1 歳未満の心房中隔欠損患児の検討
京都大学医学部小児科1),心臓血管外科2)
美馬 隆宏1),土井 拓1),横尾 憲孝1),岩朝 徹1),鶏内 伸二1),平海 良美1),馬場 志郎1),村田 眞哉2),池田 義2),中畑 龍俊1)

【はじめに】心房中隔欠損(以下ASD)は,乳児期において症状を呈することがまれな疾患であり,このことは小児循環器領域では常識とも言える.一方,少数ながら乳児期から注意を要する症例が存在することを強調する教科書も見受けられる.今回われわれは,当施設において,乳児期よりフォローするASD患児のうち,1 歳までに心臓カテーテル検査や手術が必要であった患者につき検討したので報告する.【対象】対象は2000年以降に当院でASDまたは卵円孔(以下PFO)のみ(非症候性の動脈管開存や軽度の末梢肺動脈狭窄の合併は含む)と診断され,フォローを受けた乳児(1 歳未満の患児)205名.【結果】205名のうち乳児期に当院で心臓カテーテル検査を施行した患児は 9 名(4.4%),うち術前症例は 8 名,残る 1 名は,いくつかの胸郭等の奇形を伴い,低換気も相まって高度の肺高血圧が持続する非ダウン症の児で,ASD閉鎖術後にも肺高血圧が残存するため検査を施行している.心臓カテーテル検査を行った理由は,9 名全員に強い肺高血圧の存在が疑われたためであり,高肺血流型の心不全や,心臓の動きが悪い「成人領域の心不全」を示す患児は認めなかった.これら 9 名のうちダウン症は 7 名(3.4%)であった.全 9 名のうち乳児期にASD閉鎖術を施行したのは,術後検査例を含め 8 名であり,うち 7 名がダウン症であった.一方,当院でASD閉鎖術を施行した乳児は 9 名(4.4%).うち 8 名が上述のとおり当院で心臓カテーテル検査を受けており,1 名は他院で検査を受け手術目的で紹介を受けたダウン症を伴う患児である.これら手術を施行した 9 名のうち,ダウン症は 8 名(3.9%)であった.【考察】乳児期より注意を要する症例としては,すべて高度の肺高血圧をもつ症例であり,心不全の症例はなかった.またそのほとんどがダウン症を合併していた.

閉じる