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著明な心筋障害を呈したQT延長症候群の 1 新生児例
自治医科大学小児科1),自治医科大学附属さいたま医療センター小児科2)
佐藤 麻美1),市橋 光2),森本 康子1),平久保 由香1),保科 優1),白石 裕比湖1)

【症例】生後 0 日の男児.【主訴】頻脈.【現病歴】AIHで妊娠成立,在胎37周時に胎児不整脈を指摘され,38週 3 日に胎児心エコーでsustained VTを確認し,帝王切開で出生.Apgar 8-8-9で,当院NICUへ入室した.【現症】体重3,342g,脈拍186/min,呼吸数50/min,血圧78/29mmHgでSpO2100%.自発運動は活発で,呼吸・循環動態は保たれていた.【経過】心電図はHR 180/minのVTで,リドカイン 1mg/kgで軽快した.心エコーでは形態異常は認めなかった.洞調律時の心電図でQT延長とその形態からlong QT3を考え,その後もVTが再燃するため,リドカインの持続点滴静注を行ったところ軽快した.メキシレチンの内服を継続し,退院となった.VTの再燃はなかったが,心電図上,QRSが次第に広くなり(0.11~0.14秒),V5,V6でST低下が明らかとなり,心筋障害が考えられた.また,心エコーでも全周性に壁運動の低下を認め,EFが32.3~15.7%に減少した.現在 3 カ月で,利尿剤とACE阻害薬を追加内服している.【考察】QT延長症候群の診断後,短期間に心筋障害が進行する特異な経過を呈した症例であり,報告する.

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