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心房間において右左シャントを来したファロー四徴症の症例
愛媛県立中央病院小児科1),愛媛大学大学院医学系研究科小児医学2),愛媛県立今治病院3)
千阪 俊行1),山本 英一1,2),小野 晋1),太田 雅明1),村尾 紀久子2),松田 修2),檜垣 高史2),森谷 友造3),中野 威史3)

【はじめに】ファロー四徴症は,心室間では,右左短絡を有するものの心房間においては,左右短絡優位になる.そのため,心房交通を有するファロー四徴症は,心房間での左右短絡のため,左室に流入する血流が少なくなり,肺血流が多くても左室拡張末期容積が小さくなることが多い.今回,われわれは,心房間において右左短絡を有し,無酸素発作でないにもかかわらず,乳児期早期に低酸素血症を認めるようになった症例を経験したので報告する.【症例】41週3,670gで出生,Apgar 8 点.生後早期よりチアノーゼを認めた.SpO2は90%前後であった.心エコー検査にて,ファロー四徴症と診断.出生後,心室間は,左右優位であったが,心房間は,心房内にある隔壁により右左短絡となっていた.次第に漏斗部の肥厚が進行し,心室間でも右左短絡が増強することにより,チアノーゼは増強してくるようになった.肺動脈は出生後より成長はなく,低形成であったが,左室拡張末期容積は正常であった.生後 2 カ月時,SpO2は60%台になり,ブレロック短絡手術を施行した.術後は,左房圧の上昇に伴い,心房間の右左短絡は減少した.SpO2も90%前後と改善している.【結語】心房間において右左短絡を有するファロー四徴症の報告は少ない.また,肺血流量は少ないにもかかわらず,心房間交通のため,左室の容量は正常であるという特異な血行動態を来した症例を経験した.

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