III-B-17
エプスタイン奇形を伴う不整脈に対するカテーテルアブレーション
日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科
梶山 葉,芳本 潤,福原仁雄,豊原啓子,中村好秀

【背景】エプスタイン奇形はWPW症候群の合併などが多いとされ,重度のエプスタイン奇形では頻脈発作時に循環不全に陥ることもある.一方,エプスタイン奇形のWPW症候群では複数本の副伝導路が認められることもあり治療をより困難にしている.【目的】当院でのエプスタイン奇形のカテーテルアブレーション症例を検討する.【対象】2001年10月から2007年12月までに当院で電気生理検査,カテーテルアブレーション治療を施行した先天性心疾患患者138名中,エコー所見にてエプスタイン奇形を認めた13症例(男 5 ,女 8).【方法】診療録,カテーテル検査所見,心エコー所見などを基に後方視的に検討した.【結果】当院入院時年齢は 6 歳 2 カ月(3 カ月~15歳 7 カ月).不整脈診断はWPW症候群10名,AVNRT 1 名,WPW症候群とAVNRT 1 名,Glenn手術後の心房内回帰性頻拍 1 名で,2 名にMahaim,1 名に心房頻拍の合併を認めた.WPW症候群の副伝導路は 1 名を除いてすべて三尖弁輪に確認され 3 名に 2 本以上の副伝導路を認めた.6 カ月未満の乳児症例が 2 名あり,ともに重度のエプスタイン奇形で頻拍発作時は循環不全を認め薬物療法に抵抗性であったため,準緊急的に治療を行った.すべての症例でアブレーション治療に成功し,うち 2 名で再発したが 2 回目の治療で成功した.また,アブレーション治療に伴う重篤な合併症は認めなかった.【まとめ】小児のエプスタイン奇形に伴う不整脈治療にカテーテルアブレーションは有効である.

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