III-C-15
Stress-velocity関係を指標として循環管理した在胎25週未満の超早産児の新生児期・修正18カ月時予後の検討
神奈川県立こども医療センター周産期医療部新生児科1),脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 小児・生涯心臓疾患研究所2)
豊島勝昭1),川滝元良1),中澤 誠2)

【背景】在胎25週未満の超低出生体重児(ELBW)においては,生命予後とともに脳室内出血(IVH)や神経学的後遺症が問題となる.われわれはELBWの循環不全やIVHの成因に,生後の血圧上昇に伴う後負荷不整合が関与している可能性を報告している.【目的】stress-velocity関係(SVR)を指標とした後負荷に配慮した循環管理を施行した在胎25週未満のELBWにおいて,新生児期と修正18カ月時の予後が改善したかを検討した.【方法】2002~2005年にSVRを指標として循環管理したELBW連続27名(在胎23週11名,24週16名,出生体重643±119g)を後期群とした.SVRを基にした循環管理導入以前(1995~2000年)の在胎25週未満のELBW連続27名(在胎23週 5 名,24週22名,体重685±91g)を前期群として,循環作動薬の使用状況,肺出血,脳実質出血や出血後水頭症を来した重症IVH,退院時MRI異常,18カ月の生存率と発達指数(DQ)などについて比較検討した.後期群はESWS 40未満の心ポンプ不全(EF50%未満,mVcfc 0.8未満)をカテコラミンによる強心治療の適応とした.ESWS 40以上の心ポンプ不全やESWS上昇に伴って心ポンプ機能の低下時は減負荷療法の適応とした.動脈管に閉鎖傾向がない場合はインドメサシン(0.1mg/kg)や利尿剤,動脈管短絡量が少ない場合はニトログリセリン(NTG)を選択した.【結果】DOBの使用は前期群:81%,後期群:18%と減少した(p < 0.01) NTGの使用は前期群:37%,後期群:48%であった.重症IVHは前期群:6 例,後期群:1 例と減少した(p < 0.05).18カ月の生存率は前期群:74%,後期群:88%であった(p = 0.16).発達指数(DQ)は前期群:65.6±22.9,後期群:76.4±21.9であった(p = 0.13).【結論】在胎25週未満のELBWにおいて,SVRを指標として循環作動薬を選択・調節した結果,カテコラミンの使用頻度・投与量は減少した.後負荷に配慮して循環管理することは,ELBWの脳室内出血を予防し,生命予後や神経学的予後を改善する可能性がある.

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