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III-C-17 |
慢性心不全を有する小児拡張型心筋症に対するカルベジロールの効果—中期予後の検討 |
東京都立清瀬小児病院循環器科
葭葉茂樹,永沼 卓,知念詩乃,松岡 恵,河野一樹,大木寛生,三浦 大,佐藤正昭 |
【背景】小児心臓移植ができない日本では,拡張型心筋症(DCM)小児例に対する薬物治療は極めて重要である.国内でのα1,β受容体遮断薬カルベジロール(CAR)の投与例は増えているが,その適応や中期予後についての報告は少ない.【目的】CAR投与開始後の心機能の変化を検討する.【対象】DCM 10症例(左室心筋緻密化障害 3 例,特発性 2 例,慢性心筋炎後 1 例,溶血性尿毒症症候群後 1 例,大血管スイッチ術による心筋虚血後 1 例,筋ジストロフィ 1 例,悪性リンパ腫化学療法後 1 例を含む).CAR投与開始月齢は,4~192,中央値22.投与後観察期間は,1~64カ月,中央値26.【方法】CAR 0.02~0.05mg/kg/日から投与を開始し,BNP正常化を目標に徐々に増量した.心機能が悪化した例に対しては,CARの投与を中止した.経過中の左室内径短縮率(FS),左室拡張末期径(LVIDd),BNPをCAR開始前,CAR開始 1 カ月後(急性効果),観察期間の最終計測(慢性効果)で比較した.【結果】7 例の心機能に改善を認めた(R群).CARの最終投与量は0.2~0.6mg/kgであった.3 例に心不全症状の悪化を認め,CARを中止した(nR群).R群中 6 例にCAR投与開始早期に心拍数の減少,BNPの改善を認めたが,nR群では認められなかった.R群では心不全各指標において,以下のようにCARの急性効果と継続投与による慢性効果を認めた.FS%,13±3.4(平均値±標準偏差)→18±4.3→26±3.6(p < 0.01).LVIDD%,145±29.5→138±32.3→123±14.5(p < 0.01).BNP pg/ml,1,335±1,597→134±9.27→12±4.5(p < 0.05).【結論】小児DCMに対するCAR有効例では投与早期に心機能改善効果があることが多く,心拍数,BNP変化はその指標になる.CAR継続投与することにより,成人例と同様さらなる心機能改善効果が期待できる. |
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