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I-PD1-4 |
右心室評価におけるガドリニウム遅延造影心臓MRIの是非—定性および定量評価— |
大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学1),医療法人仁泉会 MIクリニック2),国立循環器病センター病理部3)
井手春樹1),市川 肇1),上野高義1),上仲永純1),石丸和彦1),濱田星紀2),植田初江3),澤 芳樹1) |
【背景】1999年のR. J. Kim等の報告以来,ガドリニウム遅延造影心臓MRI(LGE MRI)は左心室における心筋障害の検出に有用であるとされるが,右心室におけるその有用性の検討は少ない.ファロー四徴症(ToF)心内修復術後の患者でLGE MRIの有用性の是非を検討した.【方法および結果】2008年 6 月~12月に16名のToF心内修復術後の患者に対しLGE MRIを施行.撮影条件は1.5T,マグネビスト0.4ml/kg,time to inversion(TI) 150~300ms.遅延造影(LGE)の有無を 3 名の検者の合意により決定.LGEを16名中 6 名に認め,全例で心内修復時に使用した右心室流出路パッチに相当する部位に認めた.他の右室心筋内にLGEは認めなかった.LGEを認めた群(L群),認めなかった群(N群)において年齢,術後年数,MRIにて計測したRVEDV,RVESVおよびRVEFを比較した.L群において年齢が高値(44.5 ± 9.3 vs 29.8 ± 6.2歳, p = 0.002),RVESVが高値(104.7 ± 37.8 vs 63.1 ± 16.2ml, p = 0.042),RVEFが低値(49.5 ± 8.1 vs 61 ± 6.6, p = 0.008)であった.また,L群において術後年数が高値である傾向を認めたが,1症例,術後 3 年の症例を認め有意差は認めなかった.また,術後年数とRVESVは強い正の相関を(R2 = 0.52),術後年数とRVEFは負の相関関係(R2 = 0.20)を認めた.以上の結果をふまえ,16名中 5 名(L群 2 名,N群 3 名)において右心室中隔側心筋生検を施行.心筋細胞径(21.4 ± 4.3μm),組織線維化率(14.2 ± 6.9%)を計測し,LGE前およびLGE後の右室心筋ROI値より定義される心筋線維化係数との相関に関する検討を合わせて報告する.【まとめ】(1)LGE MRIを用いた右心室評価を行った.(2) L群ではLGEはパッチ部のみ認め,術後年数が長かった.(3)術後年数とRVESV,RVEFが相関していることから右心室心筋障害の検出におけるLGE MRIの有用性についてはさらなる検討が必要である. (4)組織学的検討を加えた定量的LGE MRI評価の可能性を検討した. |
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