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I-A-2 |
中心肺動脈欠損もしくは高度低形成を伴うMAPCA合併心奇形に対する治療戦略 |
京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科1),聖隷浜松病院心臓血管外科2),埼玉県立小児医療センター心臓血管外科3),京都府立医科大学心臓血管外科4),京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児内科5)
宮崎隆子1),山岸正明1),立石 実1),谷口智史1),田畑雄一1),川尻英長1),小出昌秋2),野村耕司3),夜久 均4),岡建城5) |
【背景】中心肺動脈(cPA)欠損もしくは高度低形成を伴う主要体肺側副動脈(MAPCA)合併心奇形に対する治療戦略については議論のあるところである.われわれは3-D CTおよび血管造影を用いた詳細な術前検索のうえ,左右均等な肺血流獲得を目的とし胸骨正中切開,体外循環使用下に一期的unifocalization(UF)と心膜roll/patchによるY字型cPA再建術 + 姑息的右室流出路形成術(pRVOTR)を行っている.今回,本治療戦略の有用性を検討した.【対象と手術】対象は2000~2008年に一期的UFおよびcPA形成術施行の11例(単心室 2 例).手術時年齢は 1 カ月~6.3歳(中央値 1 歳),体重4.4~19.0(中央値8.2)kg.cPA再建に自己心膜rollを用いたものは 8 例,自己心膜patchを用いたものは 3 例.心膜rollの径は片側PAIが平均207.6mm2/m2となるように作成.併施手術はpRVOTR 8 例,SPs 2 例(単心室症例),pRVOTR + SPs 1 例.pRVOTR径は正常肺動脈弁輪径(Rowlatt)の74%(平均).MAPCAは全39本(平均3.5本/例).UFしたMAPCAは3.0本/例(1~6 本)でcPAに直接吻合.Dual supplyのあるMAPCAは切断のみ.【結果】経過観察期間は0.5~88(平均34.0)カ月.早期死亡は単心室症例の 1 例.遠隔期死亡なし.ICR到達 5 例(VSD遺残 0),Fontan到達 1 例.ICR待機中 4 例.ICRまでの待機期間は11.5~23.6(平均16.8)カ月で,待機中 3 例に肺高血圧治療薬投与.MAPCA形態や起始部位によるUF不能例なし.UFしたMAPCA血流途絶例なし.形成cPA狭窄なし.UF後の肺動脈圧は24.3 ± 6.4mmHgと肺高血圧合併症例を認めず.UF後のPAIは345.5 ± 145.9mm2/m2.SpO2は79→88%と有意に上昇.【考察】中心肺動脈欠損もしくは高度低形成を伴うMAPCA合併心奇形に対し,自己心膜roll/patchでcPAを形成し,一期的UFを行い,良好な成績をおさめた.本法は自然な肺動脈形態構築を行えるため自己血管(cPA,MAPCA)の狭窄,屈曲の可能性が少なく,両肺への均等な血流分布,肺血管成長が得られ,ICR到達率も高く,有効な治療戦略であると考える. |
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