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I-MPD1-6 |
先天性心疾患治療における周術期ECMO使用の検討 |
静岡県立こども病院心臓血管外科
井出雄二郎,藤本欣史,廣瀬圭一,大崎真樹,登坂有子,中田朋宏,城麻衣子,古武達也,坂本喜三郎 |
【目的】先天性心疾患の周術期治療におけるECMO使用について検討.【背景】当施設では先天性心疾患周術期の管理として,術中人工心肺離脱不能例や術後急変症例は全例ECMO導入の対象としている.術後の血行動態を懸念し開胸で手術を終える際は,ターニケットを体内に残し,急変に対応できるようにしている.ECMOはローラーポンプで,心房脱血,大動脈送血(V-A ECMO)を基本方針とし,水分管理およびサイトカイン除去を目的とし,高流量CHDFも併用している.【方法】1998~2008年に術中および術後ECMOを使用した33症例を対象.ECMO導入理由は,術中人工心肺離脱不能(A群:15例)(Norwood術後:2,拡張型心筋症合併の高度房室弁逆流:2,他11例).単心室群(UV)は 6 例.術後の急変に対する導入(B群:18例)(BT shunt ± 心内修復術後:8,Norwood術後:2,BVR根治後のLOS:2,他 6 例).UVは13例.【結果】A,B各群の年齢はそれぞれ中央値 1 歳 2 カ月(0 日~21歳),1.6カ月(5 日~4 歳),体重は7.3(1.6~70.4)kg,3.2(2.3~14.7)kg.A群では,術後4.6日(1~10日)のECMOの後,10例(67%)が離脱可能.うち病院死 3 例のため,退院は 7 例(47%)に留まった.B群では,ECMO装着前に心肺蘇生を要した症例が14例(78%)であり,蘇生開始~ECMO装着までに要した時間は58(33~166)分であった.ECMO装着後,9 例(50%)で手術介入(肺血流control:6,心内修復:2,fenestration設置:1)を行った.4.2日(16時間~13.5日)のECMOの後,16例(89%)が離脱可能であり,全例退院.合併症としては出血,神経学的後遺症がそれぞれ 2 例.また両群ともにUVとECMO離脱との相関はなし.【結論】先天性心疾患術後急変,心肺蘇生後(B群)にも,速やかにECMOを導入することで,血行動態が破綻した原因を分析し,肺血流controlを中心とした手術介入により,血行動態の是正が可能となる.またA群においては,手術精度の向上・離脱後の管理の向上により,退院率の改善も期待できると考えられる. |
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