I-C-6
Isomerism heartに合併した不整脈治療例についての検討
社会保険中京病院小児循環器科1),心臓血管外科2)
吉田修一朗1),久保田勤也1),西川 浩1),大橋直樹1),松島正氣1),櫻井 一2),水谷真一2),加藤紀之2),野中利通2),杉浦純也2),波多野友紀2)

【目的,方法】1993年 1 月~2008年12月に出生したisomerism heartの児を対象とし,治療を要した不整脈の発生頻度を調査し,その治療法と転帰について後方視的に検討した.また当院では2005年以降,新生児期発症の自然停止,非持続例も含む上室性頻拍(SVT)に対して積極的に 1 群薬の内服を行っており,その転帰についても検討した.【結果】上記期間中に52症例(right isomerism:R群33例,left isomerism:L群19例)あり,転帰は生存24例(R群12例L群12例)死亡26例(R群21例L群 5 例)不明 2 例(R群 2 例)であった.死亡原因としては周術期死亡13例で,それ以外では感染症 4 例,不整脈 3 例,蛋白漏出性胃腸症 1 例,不明 5 例であり,うち突然死が11例(85%)と大半を占めた.治療は抗不整脈薬が大半であり,ペースメーカー植込みが 3 例に施行されていた.治療を要した不整脈症例は,頻脈性13例(R群12例L群 1 例),徐脈性 3 例(L群 3 例)であり,治療開始時期は新生児期が 9 例,BDG手術以降(2 歳)1 例,TCPC手術以降(2~7 歳)が 5 例,Senning手術後(3 カ月)1 例であった.頻脈性は死亡・重度後遺症が計 8 例(すべてR群)と予後不良であり,うちTCPC術以降が 3 例であった.また当院では2005年以降,新生児期SVT例(R群 5 例L群 1 例)に対して 1 群薬内服を行っていた.転帰は 2 例が周術期死亡,1 例は内服中止後にSVTにて突然死,3 例は生存し不整脈コントロール良好であり手術待機中である.【考察,結論】新生児期から積極的な薬剤投与により,不整脈をコントロールし周術期死亡,遠隔期死亡,突然死を減らす可能性がある.一方で薬剤の副作用,電気生理学検査(EPS)等の施行時期,薬物中止時期の判断など課題も多い.特に頻脈性不整脈は予後不良であり,EPS,さらにアブレーションによる不整脈精査を適切な時期に施行する必要がある.

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