I-C-8
Rt. isomerismの上室頻拍についての検討—電気生理検査および高周波カテーテルアブレーション—
日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科
豊原啓子,尾崎智康,芳本 潤,福原仁雄,中村好秀

【対象】上室頻拍を有するrt.isomerism 17例で,全例に電気生理検査(EPS),高周波カテーテルアブレーション(RFCA)を施行した.Total cavo-pulmonary connection(TCPC)前が11例,TCPC後が 6 例であった.【結果】臨床的に認められ,EPS時に誘発された頻拍は房室結節回帰頻拍(AVNRT):5(うちTCPC後の 2 例は結節頻拍(JT)も合併),slingを介した二つの房室結節間の房室回帰頻拍(AVRT):4 ,心房頻拍(AT):4 ,副伝導路を有するAVRT(WPW): 1,心房粗動(AFL): 1,JT: 1であった.TCPC前の11例は全例RFCAにより頻拍は治療できた.TCPC後の 6 例(AVNRT + JT:2,二つの房室結節間のAVRT:3,JT: 1)においてRFCAが成功したのはfenestration経由で治療した 2 例の 二つの房室結節間AVRTと 1 例のAVNRTであった.頻拍の関与にかかわらず,二つの房室結節を有したのは,17例中 9 例であった.9 例中TCPC後の 6 例全例に 二つの房室結節を認めた.6 例中 3 例にJTを認め,房室結節に対してmodificationのRFCAを行ったが無効であった.二つの房室結節を有したTCPC前の症例が 3 例で,片方の房室結節にRFCA後臨床的に認めた頻拍は消失したが,3 例中 2 例に周術期に残存する房室結節からのJTを認めた.【結語】Rt.isomerismの上室頻拍は他の先天性心疾患と比べて,AVNRT,二つの房室結節間のAVRT,AT,JTが多かった.TCPC前の上室頻拍に対するRFCAの成績は良好であった.またTCPC前後でJTを起こす頻度が高く,治療に関しては今後の検討が必要である.

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