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I-C-16 |
房室錯位に対する一心室修復の治療成績 |
大阪府立母子保健総合医療センター心臓血管外科1),小児循環器科2)
盤井成光1),岸本英文1),川田博昭1),齊藤哲也1),萱谷 太2),稲村 昇2),濱道裕二2),河津由紀子2),前川 周2),門田 茜2) |
【目的】Fontan手術の成績向上のもとに,われわれは二心室を有する房室錯位症例に対しても,近年Fontan手術を積極的に行ってきている.そこで今回,房室錯位に対する一心室修復の治療成績につき検討した.【対象と方法】対象は二心室を有する房室錯位症例に対して両方向性Glenn手術およびFontan手術を施行した10例(一側房室弁閉鎖は除く).心室大血管関係はl-TGA 6 例,DORV 4 例,心内病変はVSD全例あり,severe PS/PA 5 例,mild PS 3 例,PH 2 例,volume reduction前のTR moderate以上 3 例.先行手術はPAB 5 例,BT 4 例.PABを行った 5 例中 4 例に後負荷軽減目的にDKSを施行(Fontan手術時 1 例,Glenn手術時 3 例).【結果】術後観察期間は平均 5 年 2 カ月(1 年 2 カ月~13年 8 カ月)で,全例健存.5 例がFontan手術に到達し経過良好(うち 3 例でGlenn手術先行),5 例がGlenn手術後Fontan手術待機中.(1)Glenn(Fontan)術前(10例),(2)Glenn術後(7 例),(3)Fontan術後(5 例)の心臓カテーテル検査では,心室拡張末期容積指数(SVEDVI)は(1)206 ± 64→(2)163 ± 36→(3)117 ± 20ml/m2と経時的に減少しており,心室駆出率(SVEF)は(1)57 ± 6→(2)54 ± 7→(3)52 ± 10%と保たれていた.Fontan術後のCVPは11 ± 1mmHg,SVEDPは7 ± 2mmHg,CIは3.9 ± 0.6ml/min/m2であった.またFontan術後平均 8 年 5 カ月の観察で,TR moderate以上の症例はなく,観察期間中TRの増強を認めたのは 1 例のみ(none→mild;本例はPAB(+)もDKS(−)の初期の症例で,Fontan術後のEFも若干低下).遠隔期のhANP 21 ± 7,BNP 12 ± 6pg/mlと全例正常範囲内で,内服薬は抗血小板薬およびACE inhibitor以外はなし,心事故・再手術回避率は100%であった.【まとめ】二心室を有する房室錯位に対する一心室修復の治療成績は良好であった.Volume reduction術後の後負荷顕在化が予想される症例においては,肺動脈狭窄症例においても積極的にDKSを行うことでFontan術後の遠隔成績の向上が期待される. |
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