I-D-2
心房中隔欠損に対するAmplatzer心房中隔欠損閉鎖栓の境界症例と適応拡大
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科1),小児心臓外科2)
小林俊樹1),石戸博隆1),増谷 聡1),葭葉茂樹1),松永 保1),岩本洋一1),関  満1),先崎秀明1),枡岡 歩2),鈴木孝明2),加藤木利行2)

【目的】Amplatzer心房中隔欠損閉鎖栓(以下ASO)を用いた心房中隔欠損(以下ASD)に対する治療が始まり 3 年が経過し,国内治療症例数も1,000に届こうとしている.当院にASO治療目的で受診した症例を検討し,適応の限界症例について検討した.【方法】2007年 4 月~2008年10月末にASOによる治療希望を主訴に埼玉医科大学国際医療センターを受診した133例の新患症例に対し,閉鎖適応や閉鎖の有無と,適応外と診断された症例の分析を行い検討した.【結果】71例が適応と判断され,54例が閉鎖されていた. 4 例は適応と判断されたが,erosion等の合併症に対する説明を聞き,手術を希望した.ASOにて閉鎖困難な卵円孔もしくは有意短絡を持たないASDが 9 例.膠原病による肺高血圧症合併が 1 例,有意のASとTRを合併した各 1 例と,冠状静脈洞ASDと上静脈洞ASDの 1 例が適応外と判断された.IVC rimがほとんど認められない下縁欠損が20例,erosionの危険が最も高い左房上壁へのsuperior rim欠損が10例,広域のaortic rim欠損と過大すぎる欠損孔および多孔性が各 2 例適応外と判断されていた.留置術後 1 日で閉鎖栓によるRA Ao erosionを起こした症例は高位の欠損であり,さらにfloppyな中隔瘤を有していた.【考案および結語】症例の経験を積むことにより,ASD周囲のrimさえしっかりしていれば大きな欠損も閉鎖可能となってきている.適応外と判断された症例の過半数がIVC rim欠損もしくは低形成であり,欠損孔径も大きな傾向が強かった.当院にて留置後 2 年後に妊娠を契機に短絡が再出現した症例も中隔瘤は有していないがfloppyな心房中隔であり,中隔の性状は今後の検討が必要と思われた.Superior rimが小さい症例は危険を十分に説明して閉鎖を行っているが,現在のところ合併症は認めていない.

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