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I-E-1 |
心疾患を合併した18トリソミー患者に対する心臓手術の予後 |
九州大学病院小児科1),九州厚生年金病院小児科2),心臓血管外科3),九州大学病院心臓血管外科4)
宗内 淳1),山村健一郎1),渡辺まみ江2),弓削哲二2),大野拓郎2),落合由恵3),井本 浩3),瀬瀬 顯3),塩川祐一4),城尾邦隆2) |
【背景】18トリソミーは致死的染色体異常の一つであり,90%に心奇形を合併するが心臓手術の是非については不明な点も多い.【目的】心合併症を伴う18トリソミー患者における心臓手術の臨床効果を検討する.【対象と方法】(1)心症状を伴う,(2)14日以上生存している(18トリソミー患者の生存日数中央値14日という報告より),(3)家族が強く心臓手術を希望する,以上を心臓手術の適応とした.20例(女:14,男 6)の患者を検討した.全例心合併症を伴い,心室中隔欠損 +/- 心房中隔欠損 +/- 動脈管開存が15例,両大血管右室起始 +/- 僧帽弁狭窄が 4 例,総動脈幹症が 1 例であった.心臓手術あり群となし群に分けて生存率,生存退院率をKaplan-Meier法で算出しlog rank試験で比較検討した.【結果】6 例(30%)に心臓手術(肺動脈絞扼術 4 例,心内修復術 2 例)を平均生後2.2(0.5~9.8)カ月,平均体重2.5(1.5~3.2)kgで施行した.手術あり群の 2 例は術後 3 カ月と 9 カ月で死亡した.手術なし群14例では11例(78%)が平均生後2.8(0.5~6.6)カ月で死亡した.2 群間で在胎周数,出生時体重,性別,観察期間に有意差はなかった.6 カ月,12カ月,24カ月の生存率は手術あり群が83%,67%,67%であったのに対して,手術なし群はそれぞれ28%,14%,7%であり,手術なし群が有意に低値であった(p < 0.05).一方, 1 カ月, 3 カ月, 6 カ月の生存退院率は手術あり群が 0%,16%,50%であったのに対し,手術なし群はそれぞれ 9%,29%,52%であり有意差はなかった(p < 0.48).手術を行っても長期人工呼吸管理や育児放棄により在宅医療へ移行できない症例も認められた.【考察】18トリソミーに対する心臓手術は生存率は向上させるが,家族との十分な話し合いの中で個々に応じた治療方針を検討していくことが望まれた. |
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