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I-E-5 |
小児循環器領域における適応外使用医薬品の実態 |
榊原記念病院循環器小児科
水上愛弓,村上保夫,朴 仁三,嘉川忠博,佐藤潤一郎 |
【背景】適応外使用とは添付文書に記載されていない効能・効果,用法・用量で,または異なる剤形に変更して医薬品を使用することであり,保険医療でカバーされない,医薬品副作用被害救済制度の対象外となる,医師が責任を問われる可能性等の問題がある.また剤形変更においては薬剤の安定性や吸収率が評価されていない等の問題がある.【目的】小児循環器領域における医薬品の適応外使用の実態を明らかにすること.【方法】当院で採用,小児に対して処方されるまたは処方される可能性がある医薬品について,添付文書より小児に対する効能・効果,用法・用量の設定,および剤形変更の有無を調査した.【結果】鎮静,電解質補正等を目的とする薬剤を除く循環器疾患治療薬63品目のうち小児適応のあるものは11品目にすぎず,52品目が適応外使用であった.とりわけ抗不整脈薬で小児適応を有するのはジゴキシンのみであった.昨今心不全治療薬として処方されるβブロッカーやACE阻害薬等の血管拡張薬についても一部成人に対し心不全の効能・効果を有するものの,小児に対しては「安全性が確立されていない」旨の記載がある.また剤形については小児適応のない薬品では細粒の剤形をもつ後発医薬品が 1 剤あるのみで,主に成人用の錠剤の粉砕,脱カプセルが日常的に行われている.【考察】厚生労働省「小児薬物療法根拠情報収集事業」に基づき,小児循環器領域では酢酸フレカイニドをはじめとする 4 品目が選択され小児適応拡大のための検討が始まっている.しかし小児に対する用法・用量,および有効性や安全性を示すエビデンスの収集やガイドラインの確立が必要であることからいまだ適応を取得してはおらず,残る多くの医薬品についても適応外使用解決の対策は講じられていない.【結論】適応外使用解決のためにはこれを問題として認識すること,統一した用法・用量の設定および有効性,安全性を示すエビデンスをつくることが重要である. |
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