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I-E-7 |
Fontan candidateにおける肺生検の有用性 |
埼玉県立小児医療センター循環器科1),日本肺血管研究所2)
河内貞貴1),伊藤怜司1),菅本健司1),菱谷 隆1),星野健司1),小川 潔1),八巻重雄2) |
【背景】Fontan candidateの患児において,bidirectional cava pulmonary shunt(BCPS)やtotal cava pulmonary connection(TCPC)を行うためには,肺動脈圧などの厳しい条件をクリアすることが求められる.当院では,術前の心臓カテーテル検査で肺動脈圧が高い症例や,側副血管が多数発達している症例などに肺生検を施行し,日本肺血管研究所に診断を依頼している.その結果を手術の適否の参考としており,肺生検診断結果どおりの手術成績を得ている.【目的】当院にて経験した手術適応決定に迷ったFontan candidate症例を後方視的に検討し,肺生検診断の有用性を評価すること.【症例】2006~2008年で,術前カテーテル検査にて肺動脈圧が高く,その時点での手術適応はないと思われたFontan candidate15人に対し,17回の肺生検を施行した.【結果】BCPS前に肺生検を行った 6 例中,診断結果に基づき手術を施行した例は 5 例であり,全例術後経過は良好であった.また,TCPC前に肺生検を行った11例中,手術可能と診断されたのは 5 例であり,2 例は手術終了し 2 例は手術予定である. 1 例は,肺胞壁の細胞性肥厚でdesaturationがあり,外来フォロー中である.特に,生検前の平均肺動脈圧が20mmHgを超える 9 例の生検結果は,臨床経過区分A:1 例,B:2 例,C:3 例,D:3 例であった.【結論】Fontan candidateにおいて,術前のカテーテル検査で肺動脈圧が高く,その時点での手術適応はないと思われる症例でも,肺生検にて手術適応ありと診断される例は少なくなく,実際に適応ありと診断されたほぼ全例で手術が安全に終了する.こういった症例での肺生検は極めて有用であり,TCPC到達例を増やすことになると考えられた. |
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