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I-E-12 |
機能喪失型SHP2変異体に関する心筋肥大シグナルの解析 |
大阪大学大学院医学系研究科小児科学
成田 淳,小垣滋豊,石田秀和,市森裕章,内川俊毅,岡田陽子,大薗恵一 |
【背景】これまでの本学会においてNoonan症候群(NS),LEOPARD症候群(LS)にみられる肥大型心筋症の発症メカニズムに関する基礎的報告をしてきた.中でもphosphatase活性の低いSHP2変異体に注目している.【目的】機能喪失型SHP2変異体により誘導される心筋肥大のシグナル経路を明らかにする.【方法】臨症例と同じ変異があるSHP2発現アデノウィルス(以下Ad)を作製.これを新生仔rat初代培養し,心筋細胞単独培養群(C群)・非心筋細胞単独培養群(N群)・共培養群(CO群)に分けSHP2発現Adを導入し,添加後48時間の細胞面積の測定と24時間後のmRNA発現をreal-time PCR法で検討した.また添加48時間後の培養液上清を採取し,endothelin-1(ET-1)とangiotensin-2(Ang-2)の濃度をELISA kitを使用し測定した.【結果】細胞面積の測定において,C群では変異体間に差はないがCO群はWTに比しY279C,Q510E(LS type)が有意に肥大しており,それに相関するようにCO群でLS typeでの心筋肥大関連遺伝子であるα skeletal actin(αSKA)mRNAの有意な上昇を認めた.αSKAmRNAを上昇させる液性因子として代表的なET-1とAng-2を測定したところ,CO群でのみLS typeの変異体でET-1濃度の有意な上昇を認めた.【考察】in vitroにおいてLSの変異があっても心筋細胞単独では肥大せず,共培養によって肥大が誘導されることが形態測定と遺伝子発現レベルでみられた.またそれに関与している可能性が高い物質としてET-1の分泌上昇を認めた.共培養することによりSHP2変異体が心筋細胞と非心筋細胞との相互作用にどのように影響してET-1分泌を増加させるかを今後検討していきたい. |
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