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I-E-14 |
MRIによる川崎病の冠動脈血管壁の検討—冠動脈正常例,退縮部位,一過性拡大部位の血管壁厚— |
東京逓信病院小児科1),フィリップス2),日本赤十字社医療センター小児科3)
北爪 勉1),鈴木淳子1),武村 濃2),薗部友良3),土屋恵司3) |
【目的】中等瘤,巨大瘤を来した冠動脈は,血管内超音波検査で内膜肥厚を来すことが知られているが,冠動脈で障害を認めなかった正常部位,瘤の退縮部位,一過性拡大に対しては十分に検討されていない.今回われわれはMRIで非侵襲的に血管壁を計測し検討を行った.【方法】使用装置は,Philips社製Gyroscan Intera 1.5T Master R9で撮像条件は,非造影で血流を高信号に描出する脂肪抑制併用の三次元Balanced steady-state free precession(SSFP)法と,脂肪抑制を用い,血管横断面を描出する2D Black blood-Spiral k-space order TFE(Spiral BB)法を使用した.血管壁の計測部位は左冠動脈主幹部,左前下行枝近位部,右冠動脈近位部でありSSFP法で横断面を決定した.次に,Spiral BB法により血管壁断面を 4 点(中心から90度の間隔)で測定した.プロファイルカーブを作成し,信号強度の最大値の半分の値を血管壁厚(半値幅)とし,平均値をその部位の壁厚とした.【対象】川崎病の既往55例(検査時年齢は11カ月~29歳 1 カ月:中央値 5 歳 1 カ月).正常部位は69カ所,退縮は38カ所,一過性拡大は11カ所であった.【結果】拡大を認めなかった正常冠動脈の血管壁は,15歳未満では描出されず(0/60),15歳以上では 7 カ所(7/9)が描出された.退縮部位は,19/38カ所(53%)で描出され, 15歳未満でも,13/33カ所(39.4%)描出された.15歳未満において,Spiral BB法で描出された群の急性期の超音波検査における拡大部位の最大径は,4.17 ± 0.82(平均 ± SD)mmで,描出されなかった群の最大径は3.60 ± 0.56mmで,有意差(p = 0.069)を認めなかった.15歳未満の一過性拡大で血管壁が描出されたのは,1 歳 6 カ月と 4 歳 7 カ月の 2 カ所であった.【考察】拡大を認めなかった正常冠動脈では,明らかな血管壁肥厚はみられなかった.退縮部位や一過性拡大では,血管壁肥厚の存在を示唆する例があり,内膜肥厚が示唆された. |
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