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I-E-15 |
心血管構築異常に対する心腔側からの三次元像構築の試み—マルチスライスCTデータの新たな加工法— |
福岡市立こども病院循環器科1),心臓外科2)
牛ノ濱大也1),石川友一1),佐川浩一1),中村 真1),総崎直樹1),石川司朗1),檜山和弘2),中野俊秀2),角 秀秋2) |
【背景および目的】造影法によるマルチスライスCT(MDCT)の三次元像は,心血管構造を心血管充満像(管腔の鋳型)として表示し,先天性心疾患(CHD)の診断治療に有益であるが,管腔側から画像を立体視する表現力は十分とはいえなかった.今回,既存のソフトウエアによる心血管の管腔側からの三次元像構築を試みた.【方法】Toshiba Aquilion 16によるMDCTデータ(心電図同期も息こらえも要求しない末梢静脈造影法;イオパミロン300,2ml/kg)をDICOM3形式で記録した.データはCDを介して心臓電気生理学的検査装置CARTOTRXPシステム(Biosense Webster Inc)に取り込んだ.CartoMargeTR Image Integration Softwareを用いて,3D-CT像から必要な部位(心腔・血管)を半自動かつ任意に選択したのち,clipping plane機能とtransparency機能により見たい部位の心血管腔側から心内構造の立体視を試み,術中所見と比較した.【症例】1 歳女児,体重10kg,心エコー法と心カテ法(心血管造影)による診断:正常大血管関係の両大血管右室起始の肺動脈絞扼術後.新3D像:遠位型VSDの形態と大血管の位置関係が立体的に観察され,心内トンネルによる左室流出路再建が可能と予想された.術中所見においてもVSD形態,周辺構造物の位置関係ともに新3D像所見と一致し,予想された左室流出路再建が可能であった.【考案】CARTOTRXPシステムを用いた心血管系の三次元描出は,心エコー法と心カテ法の所見に三次元的所見を追加できる.基となるマルチスライスCTデータが得られれば,本システムを用いて臨床的に有用な3D画像が得られ,手術シミュレーションなどに活用できる可能性がある.手術所見との対比,およびMDCTによるデータ収集法の改良などにより,画像の有用性を確認し,精度を向上させることが必要である. |
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