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I-E-19 |
当センターでの冠動脈CT検査における被ばくの現状 |
国立循環器病センター放射線診療部1),小児循環器診療部2)
神崎 歩1),内藤博昭1),黒嵜健一2),古川央樹2),松尾 倫2),山本雅樹2),平田拓也2),白石 公2) |
【目的】近年冠動脈CTの有用性は確立され汎用されるが,ECG同期撮影の被ばくは多く,低減のための工夫がなされている.当センターでも,DSCT機器の導入時は成人冠動脈CTの実効線量は約15~30mSvだったが,最近はECGに同期して必要な時相以外の線量を減量するdose modulationを積極的に使用することにより,条件の良い症例では平均DLP 700mGy・cm(約12mSv)程度で,約1/2~3 に被ばくを低減されている.これに対して10~20歳代は,体格は成人とほぼ同様である反面で被ばくのリスクはまだ少し高い.学童~青年期の冠動脈CTについて検討した.【方法】冠動脈造影CTを行った症例のうち10~20歳代の37例(男性29,女性 8;川崎病31,その他の冠動脈奇形など 6).体重26~90kg(平均52).Siemens社SOMATOM Definitionを使用,成人の冠動脈CT(管電圧120kV,管電流400mAs/rot,コリメーション32×0.6,0.33s/回転,ピッチは心拍数にて0.2~0.5に可変)にほぼ準じて,10歳代前半では100kVとし,管電流は体格に合わせて可能であれば 1~2 割減量した.ECG同期管電流dose modulationは13例に使用(A群).使用しなかったB群(24例)と,コンソール上に記録されたCTDIvol,DLPについて後方視的に検討した.【成績】管電流300~400mAs/rot,撮影中の心拍数50~86bpm(平均65),撮影中の心拍数の変動11.5 ± 7.5bpm,ピッチ0.2~0.34(平均0.27).A群のプログラム上の高線量時間は80~360msec/各心拍(平均226).(A群,B群)において,平均CTDIvol(57.5,71.1)mGy,平均DLP(978,1,195)mGy・cmだった.【結論】Dose modulationを用いることによって,DLPは4/5程度に低減した.しかしA群にて成人に準じて計算した実効線量は約17mSv相当であり,条件の良い成人の冠動脈CTよりも高い線量と考えられる.冠動脈の静止が得られにくいことや,撮影中の心拍の変動のためtightなmodulationがかかりにくいことが原因として考えられ,今後は,ピークの線量を下げるなど,画質との兼ね合いも含めた検討が望まれる. |
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