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I-E-22 |
最近 5 年間の学童,生徒のニアミス,突然死の全県調査—AED導入後の臨床像の変化— |
三重大学大学院医学系研究科小児発達医学1),名張市立病院小児科2),県立志摩病院小児科3),紀南病院小児科4),国立病院機構三重病院小児科5),市立四日市病院小児科6)
淀谷典子1),三谷義英1),大橋啓之1),須藤博明2),松林信幸3),鈴木幹啓4),一見良司5),牧 兼正6),駒田美弘1) |
【目的】近年,学校管理下の突然死の減少傾向が報告され,学校検診との関連が示唆されてきた.2004年以降,自動体外式除細動器(AED)が徐々に普及した.今回,最近 5 年間の学童,生徒のニアミス,突然死の発生とAED使用状況を検討した.【方法】県内の小児科病床を有する全21病院にアンケート調査を行い,2004年 1 月~2009年 1 月における学童,生徒のニアミス,突然死例を後方視的に検討した.【結果】回答率は100%.症例は12例で,心疾患 9 例,内分泌疾患 3 例.心疾患の年齢は 7~15歳(中央値12.5歳).心疾患の内訳は,肥大型心筋症 2 例,急性心筋炎 1 例,心筋炎後 1 例,WPW症候群 1 例,QT延長症候群 1 例,心室細動 1 例,不整脈疑い 2 例.発症場所は,学校管理下 6 例(運動中 2 例,運動後 3 例,集会時 1 例),自宅 3 例.年次別例数は, 0 例(2004),2 例(2005),0 例(2006),1 例(2007),5 例(2008),1 例(2009).AED使用は,2007年以降のみで,2008年のAED非適応例(心筋炎 1 例)以外の 6 例.予後では,ニアミス 6 例(後遺症あり 2 例),死亡 3 例.年代別予後は,2005年の 2 例は後遺症 1 例,死亡 1 例,2007~2009年の 7 例では,ニアミス 5 例(うち後遺症 1 例),死亡 2 例.治療別予後は,学校のAED使用 4 例中,後遺症なし 3 例,死亡 1 例,救急隊のAED使用 2 例中,後遺症 1 例,死亡 1 例,AED使用なし 3 例中,AED非適応の後遺症なし 1 例,後遺症 1 例,死亡 1 例.予後別治療は,死亡 3 例中AED使用は 2 例(学校 1,救急隊 1),後遺症のないニアミス 4 例中,学校のAED 3 例とAED非適応 1 例,後遺症のあるニアミス 2 例は自宅発症で,AED非使用 1 例と救急隊のAED使用 1 例.【結語】AEDの使用頻度の増加に伴って心疾患に伴うニアミスの割合が増加し,学校のAED使用例では後遺症が少ない傾向を認めた.学校でのAEDを含む蘇生法の普及との関連が疑われた.AED導入後に学童,生徒のニアミス,突然死の臨床像が変化している可能性が示唆され,全国調査と新たな対策が必要である. |
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