I-E-23
小学校 1 年心臓検診における心筋緻密化障害
大垣市民病院小児循環器新生児科1),西濃地域保健所管内児童心臓検診読影委員会2),富山大学医学部小児科3)
田内宣生1),倉石建治1),西原栄起1),太田宇哉1),吉田麗己2),大矢秀一2),佐久間孝2),西田佳雄2),安田 洋2),市田蕗子3)

【目的】心筋緻密化障害(NVM)はWHOのunclassified cardiomyopathyとして分類され,新しい心筋症として報告が増加している.まれな疾患ではないことが分かってきたが,疫学的にも不明な点が少なくない.心エコードプラ法(UCG)を用いた学校心臓二次検診などにおけるNVMの頻度につき検討した.【対象と方法】2006~2008年度岐阜県西濃地域小学 1 年検診では9,469人中9,450人が一次を受診し(受診率99.8%)省略 4 誘導心電図を記録した.二次として357人(3.8%)を本学会の基準に基づき抽出し,全員に聴診,12誘導心電図,UCGを施行した.NVMの診断はUCGを用い市田の基準に従った.本検診とは別に診断した同地域同学年のNVMも合わせて検討した.【結果】12人(男 5,女 7)がNVMと診断された(1.27%).本検診発見例 4,その他の発見例 8 であった.一次の判定は右脚ブロック 2,V1誘導ST異常 1,心雑音 1 であった.その他の発見例はVSD 4,川崎病後 3,VPC 1であった.VSD 4 例中 3 例で筋性肉柱部欠損があった.VPCは右室心尖部起源であった.X/Y比は0.25~0.38で 1 例が中等症,残りは軽症と思われた.血栓形成,心機能障害を示す例はなく,VPC例を除き運動負荷などによる不整脈誘発はなかった.顔貌異常,発達障害,神経血管疾患を伴うものはなかった.1 例の姉に同様の所見を, 1 例の父にDCMを認めた. 3 例でアスピリンによる抗血小板療法中である.【結論】小学 1 年9,469人中,心臓検診などにてNVMが12例(1.27%)と高率に発見された.二次抽出基準を満たさない例の存在を考えるとその頻度はさらに増加する可能性があり,まれな疾患とはいえない.これら無症候性NVMの予後は不明でありさらに慎重な経過観察が必要である.また家族歴をさらに調査する必要がある.筋性肉柱部VSD合併例が目だつ.

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