I-E-25
学校心臓検診における心房中隔欠損の診断についての検討
福岡市立こども病院循環器科
中村昭宏,北岡千佳,石川友一,中村 真,牛ノ濱大也,佐川浩一,石川司朗

【背景】学校心臓検診で先天性心臓病がはじめて診断されることはまれだが心房中隔欠損(ASD)は数少ない代表で,診断に心エコー検査UCGは必須である.しかし,一次検診でUCGは施行していない.今回,当院のASD治療患者の実態と福岡都市圏の学校心臓検診におけるASD抽出実態を調査し問題点を検討した.【目的と方法】2001~2005年に当院でASD閉鎖術を受けた患者のうち手術時年齢が 6 歳以上20歳未満の73例を対象に,術前の聴診所見,X線,心電図所見を検討した.【結果】診断契機,乳児健診:9 例(易感染性 2,体重増加不良 1),学校検診:45例(心電図異常44,心雑音44),心雑音(近医):15名,他疾患の精査中: 4 名〈単独異常所見〉心電図異常(RBBB,右室肥大所見)69例;95%,X線異常所見(CTR 50%以上,左 2 弓の突出,肺血管陰影増強)70例;96%,聴診所見(収縮期雑音もしくは 2 音の固定性分裂)72例;99%.〈異常所見の組み合わせ〉心電図異常 + X線異常:66例;90%,心電図異常 + 心雑音:68例;93%,X線異常 + 心雑音:69例;95%,全 3 項目:65例;89%.【考察】2006年度福岡市学校心臓検診では,検診対象者が小学校 1 年生12,608名,中学校1年生11,307名で,RBBB数は小学生110名(0.9%),中学生144名(1.3%)であった.うちASD(含術後)は小学生18名(16.4%),中学生 6 名(4.2%)であった.RBBBの患者数を比較すると小学生より中学生の割合が高く,RBBBは年齢に伴いより顕在化してくる可能性がある.ASD患者を診断するためにエコー検査は重要だが全例実施は困難である.より効率的に診断するためにはRBBBが顕在化すると考えられる中学生に,積極的にエコー検査を行うことが診断率向上に重要と考えられた.

閉じる