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I-E-30 |
心内膜床欠損症における左心系閉塞性病変の合併例の検討 |
榊原記念病院小児科1),心臓血管外科2)
伊集加奈子1),朴 仁三1),嘉川忠博1),水上愛弓1),佐藤潤一郎1),高橋幸宏2),安藤 誠2),和田直樹2),森 克彦1),村上保夫1) |
【目的】左心系閉塞性病変(LHO)もしくは左室(体循環心室)低形成を有する心内膜床欠損症(AVSD)の臨床像を検討する.【対象・方法】2004年 1 月 1 日~2008年12月31日の 5 年間に,当院にて姑息術を含め一心室手術(UVR)もしくは二心室手術(BVR)を行った,または目指したAVSD 170例.これらの,LHOおよび左室低形成の合併頻度,その内訳および手術予後を検討.【結果】男女比は73:97,手術時年齢は日齢 0 から54歳.170例中,21 trisomy(D群)が66例,rt isomerism(R群)が24例,lt isomerism(L群)が 8 例,いずれにも属さない例(N群)が74例であった.LHOもしくは左室の明らかな低形成(rt isomerismは除外)は,170症例中32例(18.8%)(D:R:L:N = 12:2:7:11)にみとめ,その内訳は,大動脈弁下狭窄(SAS)16例(3 例は術後にSASが顕在化し解除した例),大動脈弁狭窄(AS)3 例,僧帽弁狭窄(MS)10例(7 例はparachute mitral valve),大動脈縮窄(CoA)14例,左室低形成10例.全症例中UVR,BVRの割合はU:B = 52:117で,LHOもしくは左室低形成を有する症例ではU:B = 19:13であった.複数のLHOを合併する症例は,32例中13例(40.6%)(D:R:L:N = 4:2:2:5)で,全症例UVRを選択している.lt isomerismでは,8 例中 7 例(87.5%)がLHOを有しており,他群より合併頻度は有意に高値であった(p < 0.05).全170症例中,手術死亡例は 9 例(5.3%)(D:R:L:N = 2:4:1:2).BVRを試行した症例では,L群 1 名のみで,他群には手術死亡例はなかった.LHOを有する32例中手術死亡例は 5 例(15.6%)(D:R:L:N = 2:0:2:1)で,LHOを有さない群に比べ,有意に死亡率は高値であった(p < 0.05).また,そのうち 4 例が複数のLHOを有していた.【結語】AVSDにおいて,左心系閉塞性病変もしくは左室低形成を有する症例は,lt isomerismに多く,死亡率は,有さない群に比べ有意に高値であった. |
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