I-P-103
Fontan手術後に再手術が必要となった症例の検討
広島市立広島市民病院心臓血管外科1),小児循環器科2)
久持邦和1),加藤秀之1),鈴木登志彦1),木口久子2),中川直美2),毛利 亮1),柚木継二1),鎌田政博2),吉田英生1),大庭 治1)

【緒言】Fontan手術後の続発病変については,その種類,発生頻度,手術適応,至適介入時期など,明確ではない点が多い.当院におけるFontan手術後に再手術が必要となった症例についての検討を行った.【対象】過去20年間のフォンタン耐術39例(2 例のほか院施行例を含む)のうち再手術が必要となった13例(14回).Fontan手術から再手術までの期間は平均8.5年(0.5~19.7).再手術時の主な術式はextracardiac TCPC conversion:6 例,流出路狭窄解除:2 例(3 回),房室弁逆流に対する弁置換術:2 例,肝静脈から左房への異常血管結紮:1 例,Björk手術から 1 + 1/2 repair conversion :1 例,BTシャントへtake-down:1 例.【結果】手術後30日以内の死亡は 2 例(TCPC conversion・横隔膜縫縮併施例:敗血症・脳出血,房室弁置換:心不全)であった.在院死亡 1 例(術後 5 カ月,take-down:不整脈)さらに退院後 1 年以内に死亡した症例が 3 例(TCPC conversion:蛋白漏出性胃腸症・肝不全,房室弁置換:心不全,1 + 1/2 repair conversion:不整脈による突然死)認められた.生存 7 例と死亡 6 例とでは再手術まで期間に差は認めなかった(8.6 vs. 8.4年)が,流出路狭窄解除例が再手術後良好な状態であるのに比べ房室弁置換の 2 例ともに心不全で失った.またextracardiac TCPC conversion術後に失った 2 例はいずれも術前からおのおの,横隔神経麻痺・肺炎と蛋白漏出性胃腸症・肝不全を合併しており,再手術後もこれらを克服できなかった.【考察】当院では症例数が少ないとはいえ,フォンタン手術後の再手術の成績は満足できるものではなく,また手術を乗り切っても早期に死亡する症例も認められた.房室弁逆流,他臓器障害の合併例では手術リスクが高いと思われ,早期に外科的介入を行うことが成績向上のためには必要と考えられた.

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