I-P-104
心耳―肺動脈結合Fontan術後長期遠隔期における心外導管型TCPC変換手術の検討
千葉県循環器病センター心臓血管外科1),小児科・成人先天性心疾患診療部2)
松尾浩三1),大場正直1),浅野宗一1),村山博和1),椎名由美2),白井丈晶2),豊田智彦2),立野 滋2),川副泰隆2),丹羽公一郎2)

【目的】心耳―肺動脈結合Fontan(APC-F)術後の長期遠隔期において著明な右房拡張と心房性頻拍,心不全などを認めた症例に対する心外導管型TCPC-Fontanへの変換(F-conversion)と同時不整脈手術について検討した.【方法】最近 5 年間のAPC-F後10年以上経過した連続 8 例の再手術例について検討.診断は単心室形態corrected TGA 2 例,三尖弁閉鎖 3 例,DORV, PA-IVSおよび無脾症各 1 例.F-conversion時年齢は24 ± 8 歳,APC-FからF-conversionまでの期間は16 ± 4 年.3 度以上の房室弁逆流 2 例,右房内血栓 2 例(うち 1 例に緊急手術試行),1 例にChild Aの肝硬変を認めた.合併不整脈は持続または発作性の心房細動または粗動 5 例,心房性頻拍発作 3 例.【手術】洞房結節周囲を除き,拡張した右房壁の可及的切除を行い20~22mm径人工血管を用いてF-conversionを行った.同時に 2 例に房室弁置換を施行.5 例にMaze手術,PV isolation 1 例,右房側冷凍凝固のみ 2 例に施行.また洞機能不全 2 例と心室機能低下 1 例にDDDペースメーカーを移植.全例fenestrationを必要としなかった.【成績】手術死亡はなく 1 例を術後 1 年に肝細胞癌で失った.1 例で術後 4 年にCRT療法を行った.生存 7 例の中央値19カ月の観察期間ではNYHA平均2.6度から1.3度に改善し,心房性頻拍は抑止されている.【結論】F-conversion + 不整脈手術により術後不整脈抑止とQOL改善を認めた.F-conversionの適応,至適介入時期はいまだ明瞭ではなく症例ごとの検討が必要と考えられたが右房拡張による心房内血流停滞と心房性頻拍の出現は決定要素となり得る.

閉じる