I-P-107
Fontan型手術後の再手術についての検討
兵庫県立尼崎病院心臓センター心臓血管外科1),小児循環器科2)
今井健太1),藤原慶一1),大谷成裕1),大野暢久1),長門久雄1),清水和輝1),小田基之1),吉澤康祐1),坂崎尚徳2),佃 和弥2),坂東賢二2)

【背景】Fontan型手術遠隔期についてその成績は概ね良好であるが,再手術を必要とする症例についての詳細な報告は少ない.【目的】当院でのFontan型術後再手術症例につき検討すること.【対象と方法】1984~2008年に行ったFontan耐術44例を対象とした.診断は,SV(RV):12,TA:8,DORV:7,cTGA:5,PPA:5,HLHSなどほか:各 1.術式は,APC:9,TCPC:35.術後観察期間は,0.5~25(中央値 8)年.再手術回避率,術式,結果,関連因子につき検討した.【結果】14例(APC:7,TCPC:7)15回の再(々)手術を行った.再手術回避率は,10,20年でそれぞれ76.3 ± 8.2,50.6 ± 13.6%.Fontan~再手術は,0.1~22(中央値:8)年.APC群では,不整脈 ± 右房拡大:5,重症心不全:2 に対し,TCPC conversion ± Maze:7(同時房室弁置換:1,PM植込:5)を行った.PA non-confluentであった 1 例が,PLE発症しPA confluentとする再々手術を行った.TCPC群での術式(原因)は,SAS解除 + fn:fenestration(SAS + PLE),房室弁置換 + fn(severe AVVR + PLE),take down(血栓 + failing Fontan),PVO解除 + CEx:conduit exchange + fn(PVO + IE),右室瘤切除 + CEx + PM(右室瘤 + SSS),leak閉鎖 + fn(吻合部leak),ltPA再建(lPA閉塞)であった.再手術後観察期間0.1~7(中央値 3)年.死亡は 3 例で,conversion + 房室弁置換例,take down例をLOSで,PVO解除例を脳出血で失った.3 例とも術前NYHA class 4であった.生存11例のNYHAは,class 1:7,2:3,3:1であった.PLEの 3 例は,現在寛解維持している.再手術関連因子として,Fontan術後のCVP高値(13.0 ± 3.0 vs 15.8 ± 3.7,p < 0.05),CTR拡大(47.1 ± 5.6 vs 54.0 ± 7.3,p < 0.05),SpO2低値(95.2 ± 2.7 vs 91.2 ± 6.2,p < 0.05),BNP高値(35.2 ± 47.5 vs 72.2 ± 57.0,p < 0.05)があった.【結論】再手術の原因はさまざまで,それぞれに対応した術式があった.重症例の再手術では死亡の危険が高く,またconversion後に心機能低下が認められた例もあり,時期と適応については症例ごとの十分な検討が必要であると考えられた.

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