I-P-112
ファロー四徴症に対するconotruncal repair法の長期遠隔成績
東京女子医科大学心臓血管外科1),循環器小児科2)
岡村 達1),坂本貴彦1),市原有起1),矢野清嵩1),駒ヶ嶺正英1),上松耕太1),小沼武司1),岩田祐輔1),平松健司1),中西敏雄2),黒澤博身1)

【目的】ファロー四徴症に対するconotruncal repair法は,刺激伝導系障害を防ぎ,低い心房圧の維持を目的として1985年に導入された.今回conotruncal repair法の長期遠隔成績について検討した.【対象および方法】1985~1991年の 6 年間にPTFE一弁付きパッチを用いた右室流出路再建を伴ったconotruncal repair法を行った143人を対象とし,遠隔期手術成績および心機能について検討した.手術時の平均年齢は4.2歳であった.【結果】早期死亡を認めなかった.肺炎および心不全による 2 例の遠隔期死亡を認めた(平均観察期間17.8年).再手術は 5 例に認め,遺残PAPVR 2 例,術前より認められたII度房室ブロック(AVB)に対しペースメーカー植え込み 2 例,遺残VSD 1 例であった.右室流出路障害による再手術および新たなAVBを認めなかった.中期遠隔における心臓カテーテル検査では,RVp;49.5 ± 12.9mmHg, CVP;9.0 ± 2.8mmHg, CI;3.8 ± 0.9l/min/m2.また,胸部X線写真では,CTR 51.8 ± 4.4%, ECGでは,PQ interval;0.17 ± 0.03msec, QRS;0.12 ± 0.03msecであり,IおよびII度AVBをおのおの 4,3 例に認めた以外すべての洞調律であった.心臓超音波検査では,右室流出路における平均圧較差は,16.7 ± 9.0mmHg, 推定平均右室圧は,39.9 ± 8.1mmHg,中等度のPRを25例,中等度のTRを 2 例に認めた.全症例においてNYHA分類はI度であった.【結語】ファロー四徴症に対するconotruncal repair法は,morbidityおよびmortalityも非常に少なく,心房圧も低い良好な長期遠隔成績を示した.

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