I-P-81
新生児期心臓に対するT型Caチャネルブロッカーの影響について(仔ウサギランゲンドルフ灌流心を用いた検討)
新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野
沼野藤人,羽二生尚訓,長谷川聡,鈴木 博,内山 聖

【背景】T型Caチャネル(以下TCC)は心筋では胎児期や生後早期の急速成長期に多くみられるが,成長とともに消失したTCCが不全心筋や肥大心筋に再発現することが報告され,心不全や不整脈へのTCCの関与が指摘されている.われわれはラットランゲンドルフ還流心を用いてTCCは心筋より刺激伝導系に多く存在し,洞結節に多く局在することを報告した(第42回日本小児循環器学会総会).しかし,新生児期心臓にTCCが与える影響はほとんど知られていない.【目的】仔ウサギランゲンドルフ灌流心を用いて,新生児期の心臓内でのTCCの分布とT型Caチャネルブロッカー(以下TCCB)が新生児期の心臓へ与える影響を検討する.【方法】New Zealand white rabbit(日齢 4~12)のランゲンドルフ心にTCCBであるmibefradil(以下M)を0.05μM,0.15μM,0.5μMの濃度で,NiCl2(以下N)を3μM,10μM,30μMの濃度で灌流させ心拍数を測定,比較した.また,心房ペーシングによりWenckebach cycle length(以下WBCL),房室結節不応期を測定し,心室ペーシングにより心室不応期を測定,比較した.【結果】心拍数,心室不応期ではM,Nともに有意な変化を認めなかったが,心拍数は延長する傾向がみられた.WBCLはM濃度0.15μMで63.4 ± 1.8msecであり,0.5μMでは67.5 ± 2.3msecと有意に延長した.Nでもbaselineで59.4 ± 1.2msecであり,N濃度30μMで63.4 ± 1.8msecと有意に延長した.房室不応期はN濃度10μM・30μMで105.0 ± 2.2msec・106.7 ± 2.1msecであり,N濃度3μM,96.7 ± 3.3msecに対してそれぞれ有意に延長した.【結語】新生児期ウサギではTCCは刺激伝導系に多く分布し,特に房室結節機能にかかわることが示唆された.

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