I-P-89
川崎病の免疫グロブリン療法不応予測群における新たな治療戦略—ステロイドパルス併用療法の検討—
北里大学医学部小児科
緒方昌平,扇原義人,安藤 寿,木村純人,中畑弥生,石井正浩

【目的】免疫グロブリン超大量療法(IVIG)不応例で高率に冠動脈瘤(CAA)を形成する.近年,IVIG不応例に対する予測と,新たな治療法が課題となっている.今回,IVIG不応例と予測された群に対し,IVIGおよびメチルプレドニンパルス(IVMP)療法の有効性を前方視的に検証した.【方法】2007年 4 月~2008年12月に当院および関連病院で川崎病(KD)と診断された52例について検討した.IVIG不応予測スコアには久留米スコアを用いた.各症例は川崎病診断時に,久留米スコアにてIVIG反応予測群およびIVIG不応予測群に分類した.IVIG反応予測群は全例IVIG単独投与を行い,IVIG不応予測群は,IVIG単独療法群とIVIG + IVMP併用療法群に無作為割付を行った.IVMPは,30mg/kg,1 日投与とし,後療法は行わなかった.治療終了36~48時間後の時点で発熱を来したものを不応例と判断した.統計解析にはχ2検定を用いp < 0.05を有意差ありとした.【結果】IVIG反応予測群37例,IVIG不応予測群15例であった.IVIG不応予測群のうち,9 例がIVIG単独投与群,6 例がIVIG + IVMP併用投与群であった.IVIG反応予測群では 4 例(10.8%)がIVIG不応例であった.IVIG不応予測群では,IVIG単独投与群で 6 例(66.7%)が不応例であったが,IVIG + IVMP併用療法群では不応例は認めなかった(p < 0.05).CALはIVIG単独投与群で 3 例認めた.【結語】IVIG不応予測群においてIVIG + IVMP併用療法は有用であった.

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