I-P-95 |
英語圏における臨床資格取得要件の変遷からみた小児循環器領域の課題 |
Faculty of Medicine, Imperial College London, UK1),Department of Cardiovascular Surgery, Royal Brompton and Harefield NHS Trust2),
松井彦郎1),康 雅博2),安達偉器3),本浄修己4),岡 徳彦5) |
【背景】日本とは異なる医療システムの中で医療技術の修練を行う海外での臨床トレーニングは,長い間日本の臨床に影響を及ぼしてきた.しかし近年の世界的な医療・経済・社会情勢の変化に伴い,海外における臨床資格取得要件は大きく変化してきている.【目的】英語圏 5 カ国(アメリカ,イギリス,オーストラリア,ニュージーランド,カナダ)における臨床資格取得要件の変化を調査する.【結果】 5 カ国とも臨床資格取得には,日本の医師国家資格を有したうえで,何らかの語学試験および医学試験のいずれか,もしくはその両者を受験する必要があった.アメリカは語学試験は必要ではないが,医学筆記試験(USMLE step 1,2 CK)の合格最低点が段階的に引き上げられることに加え,1998年に模擬患者を用いた臨床実技試験(USMLE step 2 CS)が導入され,コミュニケーション能力の評価が必須条件となった.イギリスでは,語学試験(IELTS)に合格したうえで,臨床筆記(PLAB 1)と臨床実技試験(PLAB 2)を受験する必要があった.かつては語学試験(IELTS)のみが必要とされたオーストラリアでは,2008年に臨床筆記試験(AMC MCQ)が新たに導入された.ニュージーランドは語学試験(IELTS)のみ必須であるが,合格最低点は同じ試験を採用するイギリス,オーストラリアよりも高く設定されていた.カナダは語学試験(TOEFL)が必須であるうえで,州・施設および勤務形態により資格要件は異なっており,他 4 カ国に比してより複雑なシステムを有していた.【結語】英語圏での臨床資格取得は難易度を増しつつあり,一般的な日本人医師にとって極めて高いハードルとなっている.臨床資格取得要件の現状を知ることが医師の将来計画に有用であると同時に,海外にあって日本に欠落していると思われる,有益な臨床システムの構築が必要と考えられた. |
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