I-P-97
当院で経験した心房中隔欠損(二次孔型)91例における心電図の検討
滋賀医科大学小児科
宗村純平,藤野英俊,中川雅生,竹内義博

【背景】心房中隔欠損(二次孔型)の心電図上特徴として不完全右脚ブロック,isolated negative T wave,II,III,aVFにおけるnotched R waveなどがよく知られているが,病態との関連は不明である.【目的】心房中隔欠損症(二次孔型)における心電図所見と右室容量負荷との関連を明らかにする.【方法】1979~2007年の間に当院で心臓カテーテル検査を行った未手術心房中隔欠損 (二次孔型)91例(6 カ月~23歳: 平均6.8歳)を対象とした.カテーテル検査によりFick法で算出されたQp/Qs値と心電図所見との関連を後方視的に検討した.全症例を不完全右脚ブロック(以下所見Aとする),isolated negative T wave(以下所見Bとする),II,III,aVFにおけるnotched R wave(以下所見Cとする)の有無によりグループ分類を行い,Qp/Qs値における有意差の有無の検討を行った.【結果】それぞれの所見を単独で備える群とそれ以外の群においてQp/Qs値を比較したところ有意差は認められなかった.しかし所見B,所見Cを備える群(n = 13)とそれ以外の群(n = 78)においてQp/Qs値を比較した結果,前者は平均値2.62,標準偏差0.55(平均値 ± 標準偏差)に対し後者は2.24 ± 0.74であり有意差を認めた(p = 0.042). 所見A,所見B,所見Cすべてを備える群(n = 8)とそれ以外の群(n = 83)においてQp/Qs値を比較したところ,前者は2.71 ± 0.41に対し後者は2.26 ± 0.74であり,有意差を認めた(p = 0.018).また所見A,所見B,所見Cすべてが陰性の群(n = 20)とそれ以外の群(n = 71)のQp/Qs値を比較したところ,前者は1.98 ± 0.45に対し後者は2.39 ± 0.72であり,有意差を認めた(p = 0.023).【結論】心房中隔欠損の心電図にしばしば認められる不完全右脚ブロック,isolated negative T wave,II,III,aVF におけるnotched R waveは心房中隔欠損の右室容量負荷と関連があると思われる.

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