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II-B-1 |
Fontan手術後急性期管理における一酸化窒素(NO)ガス吸入療法 |
福岡市立こども病院心臓血管外科
城尾邦彦,角 秀秋,中野俊秀,檜山和弘,小田晋一郎,櫻井寛久 |
【目的】当院におけるFontan手術後急性期のNOガス吸入療法の現状とその有用性につき報告する.【対象と方法】1994~2007年の段階的 Fontan手術290症例(fenestration症例 4 例などを除外)を対象とした.当院でのNOガス吸入療法の変遷をみると,1995年まではFontan high risk例に対する手術室のみの使用であったが,1996年以降はICUにおける人工呼吸器管理中の使用,さらに1997年からは抜管後も経鼻カニューラでの使用と,その適応を拡大してきた.現在は人工心肺離脱時NO濃度10~20ppm,ICU人工呼吸管理中 5~10ppm,抜管後ドレーン抜去まで経鼻カニューラにて 1~5ppmのNOガス吸入療法を基本に,血中メトヘモグロビン濃度(MetHb)2.0%以下を安全域として調整している.今回,Fontan手術後急性期のNOガス吸入療法の有用性を明らかにするため,血行動態の推移,術後経過に検討を加えた.【結果】入院死亡は 1 例のみであった.NO使用法の内訳は非使用23例,人工心肺中のみ 5 例,人工呼吸管理まで78例,抜管後の使用184例であった.抜管後もNO吸入療法を継続した症例(NO + :184例)は,NO非使用および抜管後吸入中止例(NO−:106例)に比し,中心静脈圧はNO + で有意に低く(NO + :9.4 ± 2.2 mmHg,NO−:10.3 ± 1.7 mmHg,p = 0.001),特に術前Rp 2 単位・m2 以上の症例で効果が大きかった.ドレーン留置期間はNO + で有意に短期間であった(NO + :5.4 ± 3.7日,NO−:8.0 ± 6.8日,p < 0.001).NO投与中の最大動脈血中MetHb濃度は1.1 ± 0.3(0.5~2.5)%であり,NO吸入に伴う明らかな副作用はなかった.【結語】Fontan術後急性期管理におけるNOガス吸入は,術後中心静脈圧を低下させ,ドレーン留置期間を短縮させる効果を有しており,術後経過を改善させる有用な治療法と思われる. |
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