II-C-7
ITPKC遺伝子多型は川崎病冠動脈障害および免疫グロブリン治療の有効性と相関する
日本医科大学小児科1),日本赤十字社医療センター小児科2),京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓学3),国際医療福祉大学リハビリテーション学科4)
深澤隆治1),阿部正徳1),薗部友良2),岡建城3),濱本邦洋4),勝部康弘1),上砂光裕1),小川俊一1)

【背景】ITPKCの遺伝子多型は川崎病罹患および冠動脈障害のリスクアレルであるとOnouchiらにより報告されている.ITPKCと川崎病との関係を,われわれのコホートを用いて検証することとした.【対象および方法】対象は川崎病既往者397名(3.8 ± 4.7歳)および正常コントロール142名(26.5 ± 7.2歳)で,書面によるインフォームドコンセントを得ている.血液白血球からDNAを抽出し,PCR restriction fragment length polymorphism technique(PCR-PFLP)により遺伝子多型を同定した.得られた結果を川崎病罹患者と正常コントロール間で比較した.また川崎病罹患者間においても発熱期間,最高CRP値,最高白血球数,好中球%,入院時AST値,最低albumin値,入院時Na値,免疫グロブリン治療効果(初回免疫グロブリン治療終了後24時間以内に解熱が得られた症例を有効とした),冠動脈障害(一過性拡張も含む)の有無を検討した.【結果】川崎病罹患者と正常コントロール間の比較では,ITPKC遺伝子多型Cアレルに有意な差異は認められなかった(p = 0.21).また川崎病罹患者間の比較では,最高CRP値,最高白血球数,好中球%,入院時AST値,入院時Na値には有意差は認めなかったが,CCアレル保有者では最低albumin値は有意に低値であり(p = 0.015),免疫グロブリン治療も無効であった(p = 0.031).さらに,冠動脈障害とCアレルには有意な関係を認めた(p = 0.021).【結語】われわれの所有するコホートにおいてはITPKC遺伝子多型rs28493229と川崎病の疾患感受性との関係は見出せなかったが,冠動脈障害および免疫グロブリン療法の有効性とは有意に関連していることが確認された.

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