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II-C-17 |
TCPC転換術における循環動態指標の変化 |
国立循環器病センター小児循環器診療部1),心臓血管外科2)
古川央樹1),大内秀雄1),宮崎 文1),山田 修1),萩野生男2),鍵崎康治2),八木原俊克2) |
【背景】Fontan手術は経時的に変化し,最近はtotal cavopulmoanry connection(TCPC)法,特に心外導管法(ECG)に推移している.Atriopulmonary connection(APC)法やBjörk法でFontan手術を施行した患児に対し上室性不整脈や血栓などの合併症からTCPCへの転換術が選択される場合がある.しかし,この術前後の心血行動態や臨床像の知見は少ない.【目的】TCPC転換術前後での循環動態と臨床像の変化を明らかにする.【方法】対象は1995年 8 月~2007年11月の期間に当院でTCPC転換術を施行した症例のうち,術後にカテーテル検査を施行した17例(男:女 = 10:7).基礎主疾患は三尖弁閉鎖12例,肺動脈閉鎖 3 例,両大血管右室起始 2 例.初回Fontan手術からTCPC転換術までの期間は平均17.3年,TCPC転換術時の年齢は平均23.6歳であった.TCPC転換術前後でのカテーテルや運動負荷試験,血液検査などから得られた成績の変化を比較・検討した.【結果】有意な変化(p < 0.05)を認めたパラメーターはCVPの減少(13.4→11.2mmHg),心係数の増加(2.11→3.07L/min/m2),ナトリウム利尿ペプチド(BNP・hANP)の減少(BNP151→37.0fmol/ml・hANP:124→37.1pg/ml)であった.一方,動脈酸素飽和度の上昇や運動耐容能(peakVO2)の改善は認めず,体心室の拡張期末期圧,容積や駆出率の変化を認めなかった.またTCPC転換術後の遠隔期死亡は 2 例存在した.【考察・結語】TCPC転換術では心機能や運動能は改善しないが,心拍出量上昇と中心静脈圧低下を伴う血行動態が改善する.また,同時にナトリウム利尿ペプチドが低下する.したがって,APC法のFontan術後患者ではこれらの効果を期待したTCPC転換術は有益な治療の選択肢のひとつと考える. |
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