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II-C-25 |
Fontan術後の低酸素血症における侵襲的治療 |
国立循環器病センター小児循環器診療部1),心臓血管外科2)
杉山 央1),大内秀雄1),矢崎 諭1),北野正尚1),山田 修1),鍵崎康治2),萩野生男2),八木原俊克2) |
【背景】Fontan術後における進行性低酸素血症の原因として,肺動静脈瘻(PAVF)と静脈短絡(VVS)が臨床的に重要であり重篤な転帰をたどることも少なくない.【目的】進行性のPAVFとVVSに対する診断と治療について検討する.【方法】Fontan術後の心カテ時に左右PA,IVC,SVCでコントラストエコーを行いPAVFおよびVVSを評価した.さらに,標的部位で血管造影を施行しPAVF,VVSを描出した.PAVFに対する治療:肝由来因子をPAVF肺に還流させる目的でhepatic venous flow redirection(revision-TCPC)を 4 例に,主要なPAVFを閉塞する目的でコイル塞栓術(CE)を 2 例に施行.VVSに対する治療:CEを11例(IVC/HV 5 例,SVC/Inn V 6 例)に施行.【結果】コントラストエコーは246例に施行し,陽性は71例(29%)であった.左右PA一方のみ陽性は91%,両側陽性は 9%であった.1 例をrevision-TCPC術後 5 年に進行性低酸素血症と心不全で失った.3 例(観察期間 7 カ月~ 5 年)では低酸素血症は持続するが進行なく(SaO2 80~92%under HOT)QOLの改善がみられた.VVSに対するCEでは平均肺動脈圧は9.8 ± 2.4mmHg→10.4 ± 2.4mmHg(NS)と変化なくSaO2は85 ± 11%→91 ± 9%(p < 0.05)に上昇した.1 例にextravasationを認めたが自然軽快した.【考察】PAVFに対するrevision-TCPCおよびCEは低酸素血症に効果が期待できるが,不可逆的変化が進行する前に施行すべきと考えられた.VVSに対するCEは重篤な合併症もなく安全に施行でき,治療効果は短・中期的に持続した.【結論】Fontan術後の低酸素血症は包括的な治療により効果が期待できる.今後,長期効果について検討する必要がある. |
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