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II-D-17 |
Junctional ectopic tachycardia(JET)12例の検討―治療の変遷を中心に― |
九州厚生年金病院小児科1),心臓血管外科2),麻酔科3)
熊本 崇1),渡辺まみ江1),大野拓郎1),弓削哲二1),岸本小百合1),倉岡彩子1),城尾邦隆1),落合由恵2),井本 浩2),瀬瀬 顯2),芳野博臣3) |
Junctional ectopic tachycardia(JET)はCHD周術期にみられる難治性不整脈で時に致死性の経過を辿るが,2007年にアミオダロン(AMD)静注薬が認可され治療の選択肢が広がった.当院で経験した12例を検討した.【対象】1998年 1 月~2008年12月に経験したJET12例(男 9,女 3).【方法】対象の(1)発症時年齢・体重(2)基礎疾患(3)発症時期(4)循環動態への影響(5)持続時間(6)治療内容と経過(7)予後について検討した.【結果】(1)日齢10~6 歳 5 カ月(中央値11カ月).体重2.3~19.6(6.25)kg.(2)TOF 4,SRV 2,DORV 2,VSD 2(IAA合併 1),D-TGA 1,ECD 1.(3)周術期10:TOF根治 4,IAA + VSD根治 1,VSD根治 1,ECD根治 1,REV型DORV根治 1,Jatene 1,BT shunt 1.心臓カテーテル検査後 1,外来で発症したFontan術後 9 年のasplenia 1.(4)JET rate 180~260(217)bpm.最低収縮期血圧25~105(53)mmHg.2 例に開胸心マッサージを施行.(5)外来発症例を除く11例に12回みられ,24~140(30)時間持続した.(6)1998年の 1 例は低体温 + カテコラミン減量.2003~2006 年の 4 例はニフェカラント(0.2~0.4mg/kg/h)を使用し 3 例は有効,1 例は無効で認可前のAMD静注薬をI.C後使用し停止.2007年以降のAMD単独使用 4 例中 3 が有効,1 例は低血圧で薬剤中止し低体温とカテコラミン減量で20時間後に停止.2008年のJatene術後例はAMD単剤では心拍・血圧コントロールできず塩酸ランジオロール 3 ~15γ併用し30時間で停止.JETが徐拍化した 5 例(42%)でペーシングを併用.外来発症例はAMD内服中だがコントロール不十分.(7)CPB離脱時にJETを発症し補助循環を併用したDORV 1 例が死亡.他11例は神経学的後遺症なく経過.【考察】年代による治療法の変遷はみられるが11例が後遺症なく生存し得た.静注AMDはJET治療において大きな役割を占めるが低血圧等の副作用には注意を要し,また単独ではコントロール困難な場合もある.ペーシングや塩酸ランジオロールの併用等多角的な戦略が今後も重要と考えられた. |
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