II-P-1
両側肺動脈絞扼術を試行した極低出生体重児の 2 例
大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科1),心臓血管外科2)
塩野展子1),濱道裕二1),萱谷 太1),稲村 昇1),石井 良1),門田 茜1),前川 周1),河津由紀子1),盤井成光2),川田博昭2),岸本英文2)

【はじめに】低体重を伴った先天性心疾患児では治療の選択が限られる.【目的】両側肺動脈絞扼術(PAB)を試行した極低出生体重児 2 例について,その背景および問題点を検討する.【結果】(症例 1)胎児診断例.在胎33週,1,018g出生.CoA, hypoLV, bicuspid AV, ASD, PLSVCと診断,AS, SASなし.Lipo PGE1を開始したが,肺血流が増加し日齢 1 に中止.日齢 3 より人工呼吸管理,N2投与を開始.PDA狭小化目的でインダシンを投与後,severe CoAとなりPGE1-CDを開始.低体重にてCoA repairは困難と判断,日齢 7 に体重1,038gで両側PABを施行.生後 2 カ月時のカテーテル検査ではLVEDV 87%ofN, MVD 81%ofN, AVD 91%ofN, mVSDを認めた. BVR目的でBASはせず,LVの発育を促すため酸素投与を開始.4 カ月15日時のカテーテル検査ではLVEDV 65%ofNと発育しなかった.mVSDのシャント量も多く,BVRは不可能と判断,BASを施行.その後lipo PGE1を漸減中止した.PDAはmain PAに比して相対的に細く,成長に伴いdAoVmaxは3.0m/sと増加.現在Glenn-Norwoodの待機中.(症例 2)胎児診断例.在胎31週,1,322g出生.Severe CoA, MS, hypoLV,DORV,PFOと診断,AS, SASなし.Lipo PGE1を開始し,日齢 1,人工呼吸管理を,日齢 2,N2投与を開始.低体重にてCoA repairは困難と判断,救命的に日齢 3,体重1,320gで両側PABを施行.術後SpO2 50%台で,NO投与でも改善なく,日齢14に左肺動脈絞扼テープを一部解除.術後SpO2 80%台に上昇した. 2 カ月 3 日,体重2,318gでPFO restrictiveと判断,緊急でBASを施行.3 カ月15日,体重3,055gのカテーテル検査で右肺動脈の狭窄を認めた.低体重にてまずPTPAを,続いてGlenn-Norwoodの予定. 成長に伴いPDAはmain PAに比して相対的に細くなっている.【まとめ】極低出生体重児では(1)呼吸の管理が必須である.(2)低体重にてCoA repairできず,救命的に両側PABを施行,BASは待機的にする必要がある.(3)Glenn-Norwood術まで体重増加を待つ必要があり,PDAの相対的狭窄による後負荷が長期に及んでいる.

閉じる