II-P-8
体循環から右肺動脈への血流を認めた右肺低形成を伴う食道肺の 2 例
茨城県立こども病院小児科1),筑波大学臨床医学系小児科2)
村上 卓1),塩野淳子1),菊地 斉1),堀米仁志2)

【はじめに】Bronchopulmonary foregut malformation(BPFM)は前腸由来の器官に発症するさまざまな先天奇形である.気管食道瘻(食道肺)を合併する右肺低形成の 2 例で,下行大動脈から低形成肺を経て右肺動脈へ左右短絡するという興味ある所見を認めたので報告する.【症例 1】14歳女児.4 歳時の胸部X線で偶然右肺低形成と診断された.数年続く咳嗽と呼吸困難の増悪のため入院した.食道造影で気管食道瘻が認められ,心臓カテーテル検査で肺動脈圧は23/7mmHg,細い右肺動脈が下行大動脈から逆行性に造影された.【症例 2】1 歳10カ月女児.胎児超音波検査で心臓の右方偏位を指摘され,出生後に右肺低形成と診断された.1 カ月時の心臓カテーテル検査で右肺動脈は低形成であったが,血流は順行性であった.2 カ月時に退院したが,気道感染に伴う呼吸障害のため入院を繰り返した.1 歳 8 カ月時の食道造影で気管食道瘻と診断された.右肺摘出術の適応と判断し,1 歳10カ月時に心臓カテーテル検査を再検したところ,肺動脈圧は22/8mmHg,右肺動脈は下行大動脈から側副血管を介して逆行性に造影された.【結論】肺低形成を含むBPFMにおける繰り返す気道感染では,気管食道瘻の合併を疑って食道造影を行う必要がある.繰り返す気道感染等により,後天的に左右短絡を呈する側副血管が発達すると推察された.

閉じる