II-P-11
出生前診断したhigh risk症例に対する初期対応
兵庫県立こども病院循環器科1),てい小児科クリニック2)
齋木宏文1),城戸佐知子1),田中敏克1),藤田秀樹1),佐藤有美1),鄭 輝男1,2)

【背景】当院では従来から出生前診断例も原則,新生児科医が一括管理し心疾患の緊急性を判断,循環器科診察依頼を契機に心臓チームが方針を検討している.循環器科医のマンパワー不足を補完し心外合併疾患を一任できる長所もあるが,重症の初期管理や円滑な治療遂行が犠牲となる場合もある.【目的】出生前診断された心疾患の初期管理を一般新生児科医が行う際,小児循環器科医が早期から介入すべき疾患を整理する.【対象と方法】当院で1996年以降出生前診断した高度染色体異常を除くhigh risk症例の出生後経過を総括.対象はa 左心低形成(14例),b Ebstein類縁疾患(6 例),c 左心低形成を除く体循環動脈管依存疾患(6 例),d 完全大血管転位(6 例),e 完全房室ブロックを伴う肺血流動脈管依存疾患(3 例),f 肺動脈弁欠損など気道狭窄疾患(4 例).分娩様式,循環器科初診時期,転科状態による治療変更や緊急手術,予後を後方視的に検討した.【結果】a群は早産,心外疾患合併各 2 例,PVO合併 3 例.当科初診時ショック 2 例が方針変更を要した.ノーウッド手術を10例に施行しPVO 2 例を含む 3 例が死亡,7 例が耐術.b群は極低出生体重児 1 例,肺低形成(剖検) 1 例でほか 4 例は順調に転科し,3 例が生存.c群は胎児診断されていたが生後新生児科医に見落とされた早産児 1 例,消化管疾患術後ショック 1 例があったがほかは日齢 5 までに転科し経過良好.d群は 1 例に緊急BASを要したが全例が日齢 1 までに転科し経過良好,f群も安定して管理された.e群は日齢 1 までに転科したが 1 例は初診時高度循環不全で,最終的に 2 例が死亡した.【結論】左心低形成や高度徐脈を伴う動脈管依存疾患は血行動態破綻後の回復は困難で,早期から循環器科医による綿密な管理を要する.他疾患は診断の不適切性の問題など循環器科医介入が好ましいものの,back upは可能で心疾患以外の問題は適切に対処できた.

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