II-P-16
日本の胎児心臓超音波検査登録の解析
日本胎児心臓病研究会
瀧聞浄宏,前野泰樹,松井彦郎

【背景】2004年10月より,胎児心エコーオンライン登録が開始されネットワークは全国規模で広がり,5,000件以上の登録が行われてきた.しかし,登録の地域偏向もみられ,登録数の伸び悩みも出てきた.これまでの登録状況を調査し,今後の方向性を検討したい.【対象と方法】2004年10月 1 日~2008年12月10日の期間に,胎児心エコーオンライン登録されたレベル(II)胎児心臓診断5,037件.全国登録数,県別の登録数,登録者数,登録項目である在胎週,疾患分類の変化を時系列で解析した.【結果】2004~2008年にかけて,全国登録数は,379,1,379,1,424,1,248,636件で2006年まで増加していたがその後減少していった.県別では,大阪,長野,静岡,東京などでは例年ほぼ100件以上の登録があり安定している一方,沖縄,和歌山,宮崎,山口,香川など登録がない県も存在していた.2004~2008年の登録県数を見てみると,29,35,36,30,16県と2006年を境に低下してきている.登録者数の推移をみても,45,58,53,36,23人と減少しており,登録状況は,著しい地域格差と経年的な低下が認められた.一方,2004~2008年の検査週数の推移は22週未満が,全体の 5,8,8,6,9%と横ばいで,31週以降も52~57%と変化はなかった.疾患分類でも先天性心疾患が41~48%,不整脈10%弱とほぼ横ばいで経年的変化はなかった.【結語】胎児心エコーオンライン登録は5,000件以上のデータの集積が進んだ.しかし,時系列データを見てみると,全登録数は減少傾向にあり,登録県,登録者数の伸び悩みが大きな原因の一つであることが推測された.一方で,22週未満の胎児心エコーは増加傾向にはなく,疾患分布の変化もなかった.さらなる先天性心疾患の胎児心エコーによる検出率向上のためには,小児循環器医,産科医の意識向上に加えて登録システム活用のための工夫が必要であるかもしれない.

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