II-P-19
重篤な心室性不整脈を合併した三尖弁閉鎖,肺動脈弁欠損の 2 例
千葉県こども病院循環器科1),心臓血管外科2),集中治療科3)
脇口定衞1),江畑亮太1),建部俊介1),中島弘道1),青墳裕之1),青木 満2),中村祐希2),山本 昇2),藤原 直2),杉村洋子3)

【はじめに】三尖弁閉鎖(狭窄)に肺動脈弁欠損を合併した例の報告は少なく,この疾患で重篤な心室性不整脈を起こすことはあまり知られていない.今回,心室細動を起こして死亡した症例,および心室頻拍等により蘇生を要した症例を経験したので報告する.【症例 1】胎児エコーで心奇形が疑われ38週 4 日,誘発分娩で出生した男児.生後まもなくチアノーゼを認め,三尖弁狭窄,右室低形成,肺動脈弁欠損と診断された.また右室心筋内に血流信号が認められ冠動静脈瘻が疑われた.日齢 7 に肺動脈結紮,動脈管結紮,BTシャント術が施行された.術後経過は順調であったが,生後 1 カ月時に突然ショック状態となった.モニター心電図はVfで直ちに心肺蘇生を行ったが死亡した.【症例 2】36週 6 日,胎児不整脈にて帝王切開で出生した男児.生後まもなくチアノーゼ,心雑音を認め,三尖弁閉鎖,肺動脈弁欠損と診断された.日齢13にBTシャント術を施行されたが,術後PVC連発やVTを繰り返し,突然Vfで蘇生を要した.ジゴキシン,アミオダロン,ジソピラミド,プロプラノロール等を内服していた.生後 5 カ月のカテーテル検査では右冠動脈が大動脈から起始せず,左冠動脈からの血流が心尖部での吻合を介して右冠動脈,右室へと流れていた.また左室後下壁のdiskinesisが認められ,心筋シンチで同部の欠損があり,陳旧性心筋梗塞が考えられた.生後11カ月にショック状態で救急搬送され,心肺蘇生により救命したが重度の神経学的後遺症が残った.【結語】三尖弁閉鎖(狭窄)に肺動脈弁欠損を合併した症例では重篤な心室性不整脈の合併に注意が必要である.

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