II-P-22
Glenn術後に複数のVV shuntを認めたFontan candidateに対するocclusion balloonを用いたTCPC術前評価
山梨大学医学部小児科
喜瀬広亮,星合美奈子,角野敏恵,勝又庸行,杉田完爾

【背景】Glenn術後のVV shuntは,high risk Fontan candidateの一因であり,コイル塞栓術や肺血管拡張剤等の治療が試みられている.この場合肺動脈圧(PAP)および肺血管抵抗(Rp)はFontan循環成立可否の指標にはならず,適切な判断基準が求められる.【目的と方法】今回,Glenn術後にSVCからIVCへ複数のVV shuntを認めた左心低形成の 2 症例に対し,IVCのocclusion testを行いFontan循環が成立するかを直接評価した.【症例 1】左心低形成(MA,AA).日齢12にNorwood術,生後 5 カ月時にGlenn術施行.生後 8 カ月頃からチアノーゼが増悪し,生後 9 カ月時の心臓カテーテル検査で無名静脈および半奇静脈からIVCへ還流するcollateral veinが認められた.2 歳 8 カ月時,IVCに対しocclusion balloon(NIPRO)を用いてocclusion testを施行したところ,SpO2は72%から84%に改善した.Occlusion下でのIVC造影で,IVCの血流はcollateral veinを介してPAに還流した(PA圧 = 13mmHg: PA index:221).【症例 2】左心低形成(MA,AA).日齢12日にNorwood術,生後 5 カ月時にGlenn術施行.生後11カ月時,術後評価目的で心臓カテーテル検査を行ったところ,無名静脈および奇静脈からIVCへ還流するcollateral veinを認めた.2 歳 9 カ月時,IVCに対するocclusion testを施行したところ,SpO2は76%から82%に改善した.Occlusion下でのIVC造影では,IVCの血流はcollateral veinを逆行しPAに還流した(PA圧 = 9mmHg,PA index:298).【結果】Occlusion testの結果より,2 例ともにFontan循環は成立すると判断しTCPCを施行した.TCPC術後の心臓カテーテル検査でVV shuntは退縮し,PA圧はそれぞれ12mmHg(症例 1),9mmHg(症例 2)で,Fontan循環は良好に保たれていた.【考察】VV shuntの発達が著明なFontan candidateに対するIVCのocclusion testはFontan循環の成立可否の評価法として非常に有用であると考えられる.

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